はいどうも、カワウソだよ。
以前、このブログで、右翼や左翼とIQの相関を調べたことがある。
そこで取り上げた論文では、「右翼や左翼になりすぎると、柔軟性がなくなり、事実を受け入れられなくなる。したがってIQの低さと相関関係があるのだろう」というような予想が立てられていた。
今回はそれに関して、また別の論文を探して読んでみたよ。
それによると、権威に従順な人はIQが低い傾向があるという調査結果になっていた。
今回は、それに関して詳しくみていこう。
右翼的権威主義と社会支配的傾向
今回読んだ論文は、オーストラリア・Wollongong大学の研究論文 Dangerous and competitive worldviews: A meta-analysis of their associations with Social Dominance Orientation and Right-Wing Authoritarianismだよ。
そこでは、人間の性格と、知的能力との相関関係とを調べている。
まず、論文で計測された性格は、ビッグ5と呼ばれる性格と、右翼的権威主義(RWA)・社会支配傾向(SDO)だ。
ビッグ5に関しては、以下では触れないので説明しない。
問題は、『右翼的権威主義』と『社会支配傾向』だ。
右翼的権威主義と社会支配傾向は、イデオロギーを形成する重大な要素だ。
まず、右翼的権威主義。
右翼的権威主義は、「権威主義」という名前の通り、権威にどのくらい従うかの度合いだ。
いわゆるネットスラングでいうところの「信者」にあたるものだね。
「この人が言ったことは絶対で、間違うわけがないわけがない」という思いが強ければ強いほど、右翼的権威主義が強いということだね。
この右翼的権威主義が強い人は、世界を「恐ろしいもの」と思う傾向にあるよ。
これは、世界を恐ろしいものととらえているから、権威や主義・宗教などにすがろうとしていると考えられるね。
宗教における「原理主義者」も、この右翼的権威主義だね。
一方、社会支配傾向というのは、地位の高い人や強い人が、より弱い人に対して支配するという状況を支持する傾向のことだ。
つまり、「経済的、あるいは政治的に強いひとが弱者を従えても当然だよね」と思う人は、この社会支配傾向が強い。
これが極端になると、例えば「●●人は経済的に日本人より弱いから蹂躙されて当然だ」などと考えてしまう。
実験内容・結果
そしてこの研究では、375人の学生が対象となったよ。7年生(日本でいう中1)で知能検査が計測され、12年生(高3)で、右翼的権威主義と社会支配傾向の度合い・そしてビッグ5の度合いを検査された。
調べていくと、知能指数と、イデオロギーとの間には相関関係があることが分かったんだ。
知能が低いと人を差別するし、上司に利用される
この検査では、言語のテスト・数的能力のテストが実施された。
そして、それを解析することで、全体的な知能スコアも計算した。
その3種類の知能と、右翼的権威主義・社会支配傾向はどのような関係があったのだろうか。
まず、右翼的権威主義。これは、言語能力(-0.26),数的能力(-0.19)、包括的知能指数(-0.22)すべてと有意な負の相関関係があったよ(カッコ内の数字は相関係数)
そして、社会支配傾向。こちらは、言語能力(-0.15)のみに有意な負の相関がみられた。いちおう、数的能力・包括的知能指数にも負の相関係数はあったけれど、どちらもその絶対値は0.1未満だったよ。
簡単に言うと、右翼的権威主義が強い人は、言葉の能力も算数の能力も低い傾向がある。そして、社会支配傾向の強い人は、言語能力が低い傾向にある(算数の能力は社会支配傾向の度合いとあまり関係ない)。
ということだ。
つまり、国語や数学の能力が低いと、立場が上の人に盲目的に従ったり、社会的弱者・自分と異なる集団に対して差別的な態度を取ったりする傾向があるということだね。
「なぜ勉強するの?」と子供が親や先生に尋ねることがあるけれど、間接的に、「人を差別しないためだ」「偉い人に利用されないためだ」といえるのではないかと思うよ。
(もちろん、偉い人に逆らうと大変な目に合うケースはここでは別の話だよ。このあたりを誤解しないでくれるとありがたいな。)
右翼だけが低IQというわけではない
僕が思うに、ネトウヨと呼ばれる人はこの傾向が強いのではないかと思うよ。
実際論文にも、右翼的権威主義の強い人は右翼政党に投票する傾向にあると書いているよ。
また、社会支配傾向に関しては右翼か左翼かの傾向はないけれど、ネトウヨが、中国や韓国の民族を過度に差別・嘲笑する人のことを指すものだとすれば、ネトウヨは社会支配傾向が高いともいえるね。
かといって、では逆に左翼的な人は知能が高いかというと、実はそうとも限らない。
ここで大切なのは、翼の左右ではなく、右翼的権威主義と社会支配傾向の度合いだ。
つまり、何かの権威や主義に盲目的で、かつ人を嘲笑するような人は、右翼とか左翼に限らず知能が低い傾向があると言える。
例えば、日本の新聞の中で左側といわれることの多い朝日新聞や毎日新聞に書いてあることを、まったく批判的に読もうとせず、「ここに書いてあることは絶対正しいんだ」と思っている人は、朝日新聞や毎日新聞という『権威』に従っていることになる。(もちろん、産経新聞や読売新聞を盲目的に信じている人も同じことが言える)
どんなイデオロギーの新聞を購読しようが自由だけれど、そこに書かれてある情報に偏向や操作はないか、そういったことを考えながら読もう。そうしないと、自分が低IQだと言っているようなものだ。
実際、極右と極左はIQが低いという論文も出ているくらいだし、右翼だけが低IQだとは言えないのではないかな。
(少年期のIQと現時点でのイデオロギーとに関しては、リベラルなほどIQが高いという研究はあるけれど、この論文で調査しているのは『現時点での』IQとイデオロギーとの関係だ。この違いが、一見違った結果を出しているのだと思われるよ。)
今回はここまでだよ。
まとめると
権威に従順な度合いを示す『右翼的権威主義』と、他の民族や人物に対してマウンティングを取る『社会支配傾向』は、どちらも、知性の度合いと負の相関関係がある。
今回はここまでだよ。
何事も、うのみにせず、批判的・客観的に考えることが、IQを高め、かつ権威にへつらったり他人をマウンティングしたりするのを防ぐ第一歩だよ(^●ω●^)
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