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東大殺人未遂事件に関してメディア・クイズ番組に言及するコメンテーターについて。

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注意 この記事は、東大で起きた殺人未遂事件の原因を探る意図はなく、被害に合われた方、迷惑を被った受験生・大学関係者はもとより、加害者の受験生・在籍していた高校の生徒を揶揄する目的はありません。事件で肉体的または精神的に被害を受けた方にはお見舞い申し上げます。

 

2022年度、共通テスト初日。東大で殺害未遂事件が起こった。犯人は進学校の高校2年生。これにより、受験生を含む3人が負傷。心的外傷を負った数名の受験生が再受験を余儀なくされた。なんともいたたまれない。

そして、この事件をダシにして、クイズ番組のあり方を批判する評論家が現れているようだ。

まず、茂木健一郎氏。氏はかねてから、東大王などの知識系(と氏が思い込んでいる)クイズ番組を批判している。そしてこの事件がおこった。

 


また、池上彰氏は過去クイズ番組についてどうおもっていたかはわからないが、今回の事件を受けて、「東大卒がいかに物知りであるかを競争するようなクイズ番組」を流すことの是非について意見している。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD171SN0X10C22A1000000/?n_cid=SNSTW001&n_tw=1642996951

以下、茂木健一郎氏と池上彰氏の例を用いて、その主張がいかに非合理的かを考えていこう。

 

クイズ番組と事件との関連が弱い

茂木健一郎氏はリサーチ不足

まず、クイズ番組を含むメディアと、今回の事件は相関性が低いと思われる。

これは推測の域を出ないが、加害者はクイズ番組を見て東大を目指したわけではない。親が医者で、かつ、国内でも有数の進学校に在籍していたというのだから、まず家庭や学校による影響を考えるのが自然だし、おそらくその影響のほうが大きいだろう。

少なくとも、バリバリの進学校で、「東大は無理」と言われ、進学で思い悩んでいる時点で、その学生に『東大王』を見る精神的余裕があるとは考えにくい。この辺はむしろ茂木さんの専門分野だと思うが、脳科学的にはどうなのだろうか。

 

そして、メディアについてだが、東大をもてはやしているものはあまりない。東大王を除いて、クイズ番組で東大ブランドを使っているのは、実はあまりない(頭脳王など年1のものは除く)。Qさま!だと京大卒のロザン宇治原さんを含め、同志社大卒のカズレーザーさん、熊本大卒の宮崎美子さんなども活躍している。

クイズ番組以外だと『さんまの東大方程式』があるかも知れない。これについてはあまり知らないため詳しく触れるのはよすが、どちらかというと、さんまさんが東大生を茶化すのがメインだと思う。「東大って、すごいのもいるけど変なのもいるよね」というような感じで、これまた氏の言う「特定の大学を称賛する番組」とは違う。

また、東大王においても、名前には「東大」とついているものの、実は『東大』や『東大生』という肩書はあまり意味を持たない。

もちろん、出場するには東大生でなければいけないという条件があるのだけれど、一度メンバーになると、個人の能力やキャラクターが重視される。「今日の鶴ちゃんよかったね」とか、そんな感じだ。東大王メンバー全員が東大に在籍しているからこそ、逆説的になるけど、『東大生であること』がなんのアドバンテージにもならない。

 

僕は、今回の事件は家庭と環境によるところが大きいと考えている。ただ、強いていうならば、テレビなどのオールドメディアよりもむしろYouTubeなどの影響のほうが大きい可能性がある(あくまでも可能性レベルであり、それもごく小さい可能性でしかないということはご理解ください)。

東大医学部医学科に在籍、あるいは卒業生で、チャンネル登録者数が10万を超えているものが、自分の確認している限りで2つある。あるいは、京大中退で、偏差値が京大ほどは高くない大学を過度に蔑む、目的のよくわからないチャンネルもあった。

こういったチャンネルが悪いとは思わない。が、テレビ番組よりもむしろこういったYouTubeチャンネルのほうが、今の10代には影響が大きいのではないだろうか。

 

こういったことを踏まえると、クイズ番組を含むテレビメディアの態度を今回の事件と結びつけるのは、強引ではないかと思う。

 

私情を絡めると問題解決が遅れる

特に茂木さんに関していえば、彼はこの事件の前から東大王を含むテレビ番組を度々批判していた。皮肉的に言えば、今回の殺害未遂事件は彼にとってまさに『格好の餌食』だったわけだ。

ツイッターで時々見かけるのだけど、何か事件が起こった時、被害にあわれた方の心配をするでもなく「それ見たことか」というようなツイートをする人がいる。自分の主張の正しさが証明されて本心嬉しくてしょうがないのではないかと疑ってしまうような、それほどに声たかだかに主張する人がいる。

例えばコロナ対策において。初期からほぼずっと、日本の陽性判明者数は欧米各国と比べてかなり低かった。しかし、ではその対策が素晴らしいものだったかと言うと、これには賛否両論あるだろう。

で、2020年5月、最初の緊急事態宣言が終わったあと、ものの1,2ヶ月ほどで感染爆発が再び起こった。

これで、心配する声がほとんだったが、中には「やはりこの感染対策は間違っていたんだ!」と主張するツイートも確認された。

もちろん、政府のやり方が間違っていた場合、批判するのは当然だ。それは言論の自由が保障され、公共の福祉を侵さない限り問題ないだろう。

しかし、単なる批判であれば問題ないのだけど、例えば「人口あたり感染者数が韓国より多い!人口あたり感染者数が韓国より多い!…」のような、隣国よりも感染状況が悪化したことを過度にアピールするような、そういう下品なツイートがあったこともたしかだ。

 

こういった、『それ見たことか』系の意見はなぜダメなのか。

それは、問題解決を遅らせる、悪化させる働きがあるからだ。

主観が絡むと、本来関係の薄いものが関係あるように思われてしまう。ちょうど、今回の事件とメディアとの関係のように、だ。

本来、問題を解決するためには、関係性の高いところを調べる必要がある。

しかし、関係のないものを無理やりつなげてしまうと、本来関係ない箇所(クイズ番組やメディア)が、なにか対処せざるを得なくなる。しかし、本来関係ないのだから、いくら対処しようが改善されない。

改善されないまま、また同じような事件が起きた時、茂木さんはまたメディアのあり方を批判するだろう。「まだまだ対応が十分でない」と。

 

これは、悪徳な占い師と同じだ

「お祈りしないと不幸が起こる」と断言し、それで祈ったのに不幸が起きたと訴えられたら「祈りが不十分だ」というようなものだ。こんな論法をされると反発するにしてもできない。全く科学的でもなんでもない。

こんな主張をする茂木健一郎という人は、本当に科学者なのだろうか。STAP細胞はあると言っていた小保方さんと同類ではないかと思う。

茂木氏には、科学的な主張をしていただきたい

茂木氏は以前から、『東大王』を批判してきた。中には、「東大に入ってもクイズ王になるだけ」「東大に入ってクイズ王というのがダサい」などとも意見していた。後者に至ってはこの人の感想でしかない。科学者に求められる、最低限の論理的な思考プロセスが全くない。

「クイズ王はダサい」という発言に見られるように、茂木氏は、自分の理想の大学像以外はすべて「あるまじき存在」と思っている、そこまで過激に思っていなくても似たような傾向があるようだ。

また、氏は、統計的に考える能力も乏しい。東大の学部生は14,000人ほどだ。で、そのうち何人がクイズ研究会に入っているかというと、144人だ(東京大学クイズ研究会HPより計算)。東大クイズ研にいる東大生は、東大学部生のわずか1%だ(更に言うと、院生のメンバーがいる可能性もゼロではない)。

もちろん、クイズ研に入っていなくてもクイズをする人はいる(東大王メンバーも、非クイ研者がいた)。しかし、クイズ王になるくらいクイズ熱の高い人はクイズ研に入るだろう。仮に、東大学部生で、熱心にクイズをやっている人のうち、半分しか東大クイズ研に入っていなかったとしよう。それでも、東大学部生に占めるクイズ好きの割合はわずか2%だ。

わずか2%を取り上げて上のような主張をすると不自然な結論にいたるというのは、直感的に理解できるだろう。

ちなみに、2%というと、偏差値70が上位2%とほぼ同じだ。ちょうど東大や医学部の偏差値が70くらいだ。「日本人は全員東大や医学部に受かる」と言っているのと同じくらい極端な意見だというのがわかる。

全体のなかで特異な2%だけを取り上げてワーワー騒ぐのはいかがなものかと思う。

 

幸いなことに(?)、茂木さんは東大卒だ。

東大にも、伊沢さんのような頭の良い優秀な方ばかりではないのだと、身を持って証明してくれている。

ただ、ひとこと言わせてほしい。

もう少し、論理的で科学的な論拠に基づいた主張をしないと、むしろ東大受験生に「東大を出ても、科学者になったら馬鹿になる。それよりもクイズ王になったほうが自分を磨ける」と思わせてしまうおそれがある。それが嫌なら、もう少し落ち着いてものを言ってほしい。

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