はいどうも、カワウソだよ。
最近、『搾取』について考えさせる出来事がよく起こっている。
もっとも知られていることの一つは、大手広告代理店・電通の案件だろう。東京オリンピックの開会式、閉会式がいろいろ批判されたけれど、この会社の中間搾取があまりにもえげつなくて、それが関係しているとも言われている。
個人的に、リオや北京の開会式を覚えていなかったしどうでもいいと思っていたのだけれど、東京大会のパラリンピックの開会式・閉会式を見て、オリンピックの開会式がいかに「搾取」されていたか気づいた。別大会ではなく、まさか同じ年のパラを見てこの感覚を抱くとはまさか思ってもいなかった。
この『搾取』に関係した事件が、僕の周りでも起こった。それが、英語オンラインサロンのメンター料に関する事件だ。
とある、英語学習者のためのオンラインサロンを立ち上げた人がいたんだけれど、そのメンターとして求める条件と、その給料が見合わないとして、ちょっとした騒動が起こった。
本気です。英語学習者の為の最強のオンラインサロンを作ります。
それに伴ってメンター役として力を貸してくれる方を募集します(概要は画像)
英語を使ってお金を稼ぐ経験をしたい人。英語で人の役に立ちたい人。一緒に0からコミュニティを創り上げてみませんか。興味ある方リプ、DM待ってます。 pic.twitter.com/LW0e1qehdH
— けん | 図解英語 (@k_eeeeeeeeeeen) August 20, 2021
まだ具体的な料金は決まっていないものの、英検1級やTOEIC900点以上の人を対象として、また、質問者の英作文・文法の添削や質疑応答を24時間以内に返答することが求められている。条件だけで見ると、スキル・労働条件ともに、ちょっとした塾講師や家庭教師以上のものが求められている。
それでいて、契約料金が月3000円。これはあくまでも仮の金額であって、相談して決めるとあるけれど、それにしても仮の時点であれ月3000円というのは、何か無知とか、搾取のようなものを感じさせるものがある。
このオンラインサロンに限ったことではない。いたるところで、プロ・仕事人への尊敬の欠如が見られる。
僕自身の体験でいうと、数年前よくネットで見かけた『トレンドブログ』、いわゆる『いかがでしたかブログ』というようなものの執筆がそうだった。1記事500円。それも、3日で1記事、ノルマ未達成の場合は無給。まだこのブログから収益を得ていないときにやっていたのだけれど、今振り返ってみると相当きつい条件だった。
あるいは、最近YouTubeでよく見かける「ゆっくり解説動画」のアカウント売却関係。
詳しくは、実際にその売却の依頼があったアカウントの↓動画を見てくれるとわかるのだけど、この方はYouTubeチャンネルを10万円で売ってくれと依頼されたという。
僕自身はゆっくり動画を作ったことがないから詳しいところはわからないけれど、それでも10万円というのはちょっと安すぎるのではと思った。
霊夢や魔理沙といったキャラにセリフを入れ、BGMやイラストの配置にも注意しなくてはいけない。普通のユーチューバーに輪をかけて手間がかかることは想像に難くない。
また、一般的に、登録者数や視聴者は、だんだん増えていくものだ。そんなユーチューバーも、その蓄積があってその時点に上り詰めている。
にも拘わらず、そういう背景を考えず、10万円という値段で、それも平日深夜に打診してくるとは、どれだけ温厚なひとでも怒るだろう。(そもそも、ゆっくり動画の売却自体も怪しいところがある。詳しくは下の動画が詳しい。)
このような、「え、それ安すぎない?」というような、広い意味での『搾取』が蔓延している。
今回は、なぜそういうことが起こるのか考えていこう。
過度な中間搾取の原因
搾取者は相場を知らない?
まず、雇用者(というか、依頼者)が、相場を知らないという可能性だ。おそらく、上記のオンラインサロンなんてその例だろう。英語に限らず、ある程度の学歴を持ち、家庭教師や塾講師をやったことのある人であれば、月3,000円なんて発想は浮かばない。オンラインサロンのメンターは完全に物理的に拘束されているわけではないけれど、それにしたって月3000円という考えはない。
お金を渡して、チャンネル買収や仕事依頼をする際、もし、YouTuberとしてやっていこうとか、あるいは何かブログで記事を書いたことがある人であれば、その大変さは理解している。となると、「さすがにチャンネルを10万円で、というのは安いよなあ」という考えが浮かぶ。いや、そもそも買収という発想をすること自体おこらないだろう。逆に言うと、「10万で買収」とか「月3000円でメンター募集」というのは、そういうチャンネルを作ったり、英語を使った仕事をしたりしたことの無い人の発想だ。
そもそも、英語メンターにせよ、ゆっくり解説にせよ、どれも、実際にやった人のあまりいない職業だ。いかがでしたかブログの執筆は比較的やったことのある人は多いかもしれないが、それも最近のことだ。10年前にはまだなかった。
となると、何も基準がないところから給料を計算しなければいけない。
だから、依頼された側からすると、非常に安い価格で買いたたかれるのではないかな。
搾取するのは自分本位で考えるから?
また、儲けを相手に渡したくないという心理も関係しているだろう。
自分が儲けたい、しかし、売り上げ自体は操作できない。とすれば、相手の配分を減らすのが最も合理的だ。
また、売り上げを操作するためには、例えば「いかがでしたかブログ」であれば、更新頻度を上げなくてはいけない。となると、給料を変えずに長時間労働を強制するだろう。
その結果、業界がどんどん悪い方向へ進んでしまうんだね。
うっかり搾取しないためにどうすべきか
まずは、調べる。
上で述べた『英語オンラインサロンメンター』については、個人的には、「うっかり、天然で」搾取したんだと思っている。正直にいって、経験不足だ。
もちろん、それを責めるつもりはない。僕がこうやってボロボロに言っているのは、僕がブログをやっていて、そしてそれで企業から記事執筆などの依頼が来ている、すなわちビジネスの経験があるからだ。
僕は英語・外国語関連のブログも運営しているのだけど、それでいくつか依頼を受けて、相場がなんとなくわかったんだ。
もし僕がブログをやっておらず、そして英語オンラインサロンをやろうとしていたら、同じような「うっかり搾取」をしそうな気もする。
では、うっかり搾取しないためにはどうすればいいだろうか。
まずは、聞いたり、調べたりするのがいいんじゃないかと思う。
例えば、例の「英語オンラインサロンメンター」について考えてみよう。
Indeedで、『英検1級』と検索すると、英検1級・準1級レベルの英語力が求められるバイトが見つかる。ざっと見る感じ、時給1500~2000円だ。中には4000円というのもある。
とりあえず平均2000円/hと考えよう。で、オンラインサロンのメンターはどのくらい時間の拘束があるだろうか。
1件につき24時間以内の返答が求められるけど、だからと言ってその24時間分の時給を上げるのはいささかやりすぎだ。今回は、仮に45分としよう(仕事の分量・難易度にもよるだろうが、例えば200語程度の英作文をきっちりと添削し、コメントを書き加えるとするならば、最低でもこのくらいはかかるのではないか)。
そして、依頼を1か月あたり10件こなすと仮定する。これで、2000×0.75×10=15,000円。
これはあくまでも一つの推定でしかないけど、当初の3,000円というのがいかに安いか、改めて示される。
また、この推定をすることで、新たな問題にも気づく。
例えば、月給制ではなく、歩合制にしたほうがいいのではないか、そういう考えに至る。以来が多い月と少ない月とで給料が同じというのは、副業としてやるのならいささか不都合だ。
しかし、これでは推定することが多すぎて、やっぱり計算が面倒になるのは避けられない。
そこで、周りに聞くのはどうだろう。
すなわち、ツイッターのアンケート機能なんかを使って、「こういう仕事をいくらで受け持ちますか?」と質問してみる。これで、市場というか、どのくらい出せば何人応募してくるか検討がつくんじゃないか。
僕自身陥りがちなことだけど、特に金銭面が絡む場合は、自分だけで考えようとせずに、調べたり、人に聞いたりするのがいいなじゃないかと思うよ(^●ω●^)
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