はいどうも、カワウソだよ。
2020年度、コロナが流行りだしたころ、以下のような主張をする人が出てきた。
「PCR検査を国民全員に受けさせるべきだ。」「無症状者がいるから、症状がなくてもランダムで検査すべきだ」
これの反論として、この検査の感度(感染している人が陽性だと判定される確率)が7割程度しかないから、誤診が続出するというものがある。
上の茂木さんはわからないけど、なんとなく、多くの人が、「陽性判定されたら、その人は7割くらいの確率で陽性だろう」と思っているだろう。実際、氏の動画のコメント欄でも、そういう考えに基づいて意見しているのを見かける。
いわば、例えば、ある都市における実際の感染者数が700人として、それよりも300人多い、1000人ほどが陽性と診断される。多くの人がそう思っているかもしれない。3割増だから、医療従事者からすれば結構な負担のように思われる。
しかし、実際はそんなもんではない。計算の仮定によっては、実際の感染者数の5倍以上陽性者数が出てしまうんだ。
今回は、なぜ、PCRでランダム検査をするとまずいか、数学的に考えていこう。
この記事を書いている時点で、オリンピックの選手・関係者が全員毎日PCR検査をするそうだけれど、関係者の方には、以下記事で書いていることを念頭においてほしいよ。
PCRの精度が95%でも、偽陽性率が8割超える可能性
感染者の割合がすごく小さいと、偽陽性がすごく増える
以下、なぜPCRの精度が高くても、半数以上で偽陽性になってしまうのか、具体的な数字を共に考えていこう。
話を簡単にするため、日本の人口を1億人、人口の1%がコロナに感染していると仮定しよう(人口はあまり関係ない)。
そして、検査の精度を95%、すなわち、感染者は95%の確率で陽性と診断され、かつ、非感染者の95%は陰性と診断されるとするよ。
この場合、ある人が検査で陽性と診断されて、実際にその人が感染している確率はどのくらいだろうか?
なんとなく、95%の確率で感染しているのでは?と思うだろう。しかし、実際はもっと低い。
この検査で陽性と出るのは、「感染者」のうち95%と、「非感染者」の5%だ。
感染者が1億の1%だから100万人、その95%は95万人だ。
非感染者は残りの9900万人だね。その5%は9900万×0.05で495万人だ。
となると、仮に国民全員に検査をしたとして、陽性と診断されるのは、足して590万人。
「陽性」と出た人のうち、「陽性と診断されて、かつ感染している人」の確率は、95万/590万 = 0.161 、およそ16%だ。
精度が95%と非常に高い検査を使っても、陽性者のうち実際の感染者は16%しかいない。直感に反することが起きてしまうんだ。
なぜ、精度を高めても偽陽性が続出するのか
「条件付き確率」におけるトリック
これだと、例えば五輪の選手や関係者など、せっかく来日したのに「偽陽性」で出場できなくなる人が出てくるかもしれない。
あるいは、現実問題として医者や病床が不足しているといわれているのに、それに追い打ちをかけてしまう。しかも、その8割以上が「非感染者」に施しているのだからたまったものではない。
なぜ、こんな、いわゆる『無駄』が発生するのかというと、今回の仮定における「感染者数」の絶対数があまりにも少ないからなんだ。
上の仮定では、人口の1%が感染していると仮定して、99%は感染していないとした。感染者は圧倒的少数だ。
だから、非感染者なのに陽性とでてしまった人(偽陽性)の割合は、全体の約5%と僅かではあるんだけれど、実際の感染者数がそれ以上にわずかしかいない。
それこそ、精度が人口における非感染者数の割合と同じ99%程度にまで上がって初めて、陽性者数における偽陽性の割合が50%程度にまで減る。
アメリカだと人口の10%が感染している。それでも、陽性反応が出た人の3人に1人は偽陽性だ。
1割でも、全体から見ればマイノリティであることには変わりない。
この「条件付き確率」を考えると、1回陽性反応がでたところで、直ちに隔離しなくてはいけないとか、そういうことにはならないんじゃないかな。
五輪関係者・医療従事者・政府関係者の方々には、この条件付き確率を念頭に置いて、判断してほしいところだよ。
今回はここまでだよ(^●ω●^)
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