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統計データは批判的に見よう


はいどうも、カワウソだよ。

最近ツイッターで話題になっている問題がある。

それが、「日本人不親切すぎる問題」だ。

「日本の男性は困っている人を助けない」という旨のツイートの返信の中で、世界寄付指数のデータを引用してきた人がいる。

そのツイートが1000以上リツイートされている。

そのリツイートした人の何人かは、それに対する違和感とかを表明せず、無批判に肯定しているように思える。

しかし、これに対して僕は違和感を抱いた。

確かに日本人は世界にとびぬけて親切というわけではないかもしれない。

しかし同時に、世界の中でとびぬけて不親切というわけでもないのではないか、と。

それで調べてみると、なぜこのような結果になったのか、解決の糸口となり得るものを発見した。

今回は、なぜ日本人の親切度が世界最下位という結果になったのかその原因を考えていくとともに、統計データの正しい見方・使い方についても考えていこうと思うよ。

『日本が世界一不親切な国』の罠

地域性がものすごく出ている

この記事を書くにあたって、まずは実際に世界寄付指数(World Giving Index)のデータを見て見たよ。

まず、このランキングをどうやって作ったか。

公式では以下のように書かれている

The aim of the CAF World Giving Index is to provide insight into the scope and nature of giving around the world. In order to ensure that giving is understood in its various forms, the report looks at three aspects of giving behaviour. The questions that lie at the heart of the report are:

Have you done any of the following in the past month?

Helped a stranger, or someone you didn’t know who needed help? Donated money to a charity?

Volunteered your time to an organisation?

(訳

CAF 世界寄与指数の目的は、世界のおける寄付の性質に洞察をいれるものである。人助けというのは様々な形で理解されていることを確認するために、このレポートは『人助け』という行動を3つの面から見た。レポートの根幹にある質問は以下の通り)

過去1ヶ月で以下のことをやりましたか?

助けが必要な見知らぬ他人を助けた

チャリティー団体にお金を寄付した

組織に参加しボランティアをした)

https://www.cafonline.org/docs/default-source/about-us-publications/caf_wgi2018_report_webnopw_2379a_261018.pdf

ここで一つ、考えなければいけないことがある。

それは、これがアンケート調査だということ。

ここでは人によって差が出るおそれがある。

「募金した」とか「ボランティアをした」という質問であれば、1円で募金したり、30分時間でも参加したりすればYesと答えるだろうから、そこまで地域性は出ないだろう。

しかし、今回話題となっている「人助け」の項目については、かなり地域性が出るのではないかと思う。

例えば、お年寄りに席を譲るといった行為。

これだって「助けが必要な人を助ける」にあたるのだけれど、普段からやっている人から見れば、いつどこで誰に席を譲ったかなんて覚えていないし、Noと回答するのではないかな。

募金やボランティアだと、0か1かがはっきり分かれているけれど、人助けの場合、どのくらいのレベルから人助けにあたるのか、文化によって大きく異なるだろう。

ちなみに、地域で見ると、例えばアジアの人は、この人助けのハードルが高いのではないか、つまり自分に厳しいのではないかという仮説が浮かび上がる。

事実、総合ランキングで第1位のインドネシアは、人助けの項目では97位、総合9位のミャンマーは人助け112位となっている。あるいは、日本より人助けランクの低い2国は、ラオスとカンボジア。どうも、東南アジアのランクが低く出ているようだ。(ただしシンガポールの人助けランキングは18位と比較的高い)

では東南アジアのひとが人助けをしないのか、あるいは、シンガポール人がインドネシア人よりとびぬけて人助けをするのかというと、それは違うだろうと思う。

やはり、国民性によるところが大きいのではないかと思っているよ。

重要で明確な事実よりも、曖昧でセンセーショナルな数字を重視する人たち

一方で、日本に問題があるとすれば、むしろ後者、寄付率の少なさを問題提起した方がいいのではと思う。

というのも、一方で、『寄付したか』『ボランティア活動をしたか』という、他の2つの質問に対しては、人助けと比べると、基準がはっきりしていて、実際の値と関連しているのではないかと考えられるからだ。

1円でも寄付すればYESになるし、どんな活動でもNPO法人などに参加すればそれはボランティアになる。

募金やボランティアに関しては、そういった、人により差が出るケースは少ない、少なくとも、人助けの項目よりも少ない。

あるいは、調べれば各国の募金額なども具体的な数値として出るだろう。ボランティアだってそうだ。

で、そういった、比較的明確な基準により測られるランキングはというと、寄付率とボランティア参加率の日本の成績はそれぞれ99位と56位。とりわけ寄付率の少なさが目立つ。

事実、内閣府のデータでも、日本は米英と比べて寄付、とりわけ個人による寄付額が少ないと明らかになっている。

明確な数字が出ている以上、そういう事実の方を拡散した方がよりよい問題提起になるのではないかな。

一方、人助けの項目が下位、それも144カ国中142位という数字が出ているのは、現実以上に低い数値が出ている可能性が高い

再三言うけれども、アジア圏は、この「人助け」項目が低くなる傾向にある

しかし、それらの国が不親切かというと、そうとは言えないだろう。

つまり、この人助け項目に関しては、「そもそも助け合いが当然のことだと思っている文化は低評価になりやすい」項目だ。はっきり言って主観でとてつもなく大きく変わる。

調査がアンケートに基づくものであり、謙遜する人がおおい国ではランキングが実際以上に低くなるという点を考慮せず、「日本は144カ国中142位!不親切だ!」というのは、正直どうなのかと思っているよ。

注意 こういうことを書くと、僕のことを「何が何でも日本を礼賛したいナショナリスト」と言ってくる人が出てくる。実をいうと、一度、そういう旨の口撃を受けたことがある。

ただ、僕自身は、アンケートではなく実状を踏まえた人助けランキングであっても、日本はトップ10には入っていないのではないかとも思う。

せいぜい30位くらいかなと思う。100位より悪い可能性だって十分あると思う。

しかし、いくら何でも142位、下から3番目というのは何かおかしい。そう肌感覚で疑問に思ったため、こうした内容の文章を書くことにしました。

其の点をご理解いただければと思います。

統計データを読むときに大切なこと

違和感には必ず原因がある

もちろん、統計は大事だ。このブログにおいてもいろんなデータを引用して記事を書いている。

しかし、どのような調査方法をしたのか、どのような計算をしたのか、そのあたりについても詳しく見なければいけないと思う

結果だけ、今回の件でいえば142位という数字だけ見てRTし、何の補足や訂正もしていない人がいる

多くの人は、あの数字を見て「何かおかしい」と思ったのではないかな。

だとすれば、そこから考えたり調べたりしなければいけない。

現に、GDPが上がったというニュースに対しては、いろんな人が、違和感を持ち、その罠に気付いたと思う。

だとすれば、今回の世界寄付指数のデータに関しても、同じことを抱けたはずだ。

世の中の統計データには、さまざまな罠がある。その中には、今回のようにおそらく意図的ではないものもあるのだけれど、その点に気付いてほしいと思うよ。

とすれば、違和感を徹底的に使おう

今回のように、主観とデータが明らかに異なる場合、データに何か問題がある可能性がある。

もちろん、それが恣意的なモノとは限らないけれども、偶然アジア人にとって不利になるものかもしれないし、逆にGDPのように、実際下がっているのに一見上がっているようなものもある。

そういうデータが出たときに、数字だけみて「あ、日本は経済成長してるんだ」とか「へえ、日本って親切度最下位なんだ」などと思わないことだ。

調査方法を調べよう

そういう時、直感とデータとが異なる場合、どうすればいいか。

一つは、直感の方が間違っているケース

これも往々にしてある。

有名なのは、高齢者ドライバーの事故率。

実は、日本における自動車事故の発生件数は、高齢者よりも10代20代の方が多い。

https://news.yahoo.co.jp/byline/mamoruichikawa/20161120-00064606/

池袋の事故以来、自分を含め多くの人は、高齢者の方が事故を起こすものだと思っていたかもしれない。

しかし、実際調べてみると、その逆だった。

このように、直感は間違うこともある。

しかし、今回のように、直感の方が正しくて、データの方に問題があるケースも少なからずある(日本人は世界一不親切だとはなから思っていた人のことは知らない。もうちょっと観察力を鍛えようとしか言いようがない)

だとすれば、データを見て最初にすべきことは、調査方法を調べることだ。

それで、調査方法に問題がある(人助けの調査でいえば、アンケート形式であること)とすれば、なぜ直観と異なるデータが出されたのか、その問題点を中心に考えれば答えが出るケースがおおいのではないかな。

もちろん、年代別自動車事故のように、どれだけ調べても不備がないケースもあるけれどね。

今回はここまでだよ。

統計データを見る際は、最後の数字、アウトプットだけ見て短絡的に決断するのではなく、すみずみまで見てから判断しよう(^●ω●^)

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Published by english-otter

早稲田大学先進理工学部卒。クイズ番組が好き。 社会問題も興味あり。計算も好き。要はたいがい好き。 好きな人は小倉唯。男性は伊沢拓司。 twitter @english_otter Naverなどまとめサイト・キュレーションサイトへの無断転載は禁止しておりますのでご了承ください

2 Comments to “統計データは批判的に見よう”

    1. english-otter より:

      コメントありがとうございます。
      両方とも実際のテストと似ている部分があり、しかし同時に異なるものもある。
      よって、実際のテストには同程度似ているとしか私からはいえません。
      また当ブログの記事で二つとも取り上げたので混乱されたのであれば、おわびします

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