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佐藤優 『官僚の掟』 ~官僚世界の独特のルールを暴く~

更新日:

はいどうも、カワウソだよ。

 

佐藤優氏の書籍を読んだよ。

書店によるといつの間にか佐藤さんは新作を出しているね。毎月2冊以上は出しているように思うよ。

そんななか、今回紹介するのがコチラ。

官僚の掟


森友加計学園問題や、セクハラ発言問題など、さまざまなトラブルが問題視されている官僚という組織。

そんな官僚組織に、元外務省官僚だった佐藤優氏がメスを入れていくよ。

 

 

官僚には競争が存在しない

いったん選ばれると安泰

官僚は、広義では、中央省庁に勤務する国家公務員のことを指す。

これ地方公務員にもいえることだろうけれど、民間と比べると官僚の世界には競争がない

佐藤優氏によれば、競争ではなく、年次ですべてが決まるんだ。

 

では、なんで官僚の世界に競争がないのか。

佐藤氏は、これは、エリートである官僚がお互いをつぶし合うのを防ぐためと書いている。

 

佐藤優さんは母校・埼玉県立浦和高校で教えることがあるそうなんだけど、そこでは生徒の順位がわからないそうなんだ

そんなことをしたら、学校の中や生徒同士の関係が、ぎくしゃくして雰囲気が悪くなり、どうしようもなくなるからです。だから、期末試験結果の順位も出さない。

佐藤優 官僚の掟

 

競争の中では、自分自身を鍛え上げるだけではなく、ときには他者をつぶし合うようなことも起こりうる。

エリート集団であり、国家に多大なる影響力のある官僚がお互いをつぶし合っては、優秀な人材の喪失につながるね。

それを防ぐために、官僚に競争の原理を採用していないのは、なかなか合理的な判断ではないかな。

 

自殺の大蔵・汚職の通産・不倫の外務

官僚には競争が存在せず、よほどの騒ぎにならない限りはクビになることも少ない、安定した職業だ。

したがって新しい人材が外部からはやって来ず、流動性の低い組織になっていく。

流動性が低くなると、各省庁で独自のルール・文化ができてくるんだ。

 

佐藤氏が、本書以外でも何度か書いている、『自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務』という言葉がある。

これは、各省庁の弱点を表した言葉だけれど、佐藤優の分析では、むしろ、各省がどこに気を付けているかを表す指標でもあるそうだ。

 

大蔵省はメンタルが弱いことに関しては寛容だが(→裏返せば自殺者が多かった)、汚職や女性問題やセクハラには厳しいという意味です。通産省は企業や業界との付き合いがあるから金品のやり取りには寛容な面もあるが(→汚職が多かった)、メンタルが弱い人や女性問題でトラブルを起こす人物はダメ。外務省は、省内のアルバイトの女性を愛人にするなど女性関係には甘く、ルーズなころはありますが(→不倫が多かった)、金銭トラブルを起こす人やメンタルが弱い人には厳しい、ということです。

佐藤優 官僚の掟

 

こういった独自のルールができて、各省庁に独特の文化ができてくるんだね。

 

政府は国民にわざと不利益をもたらしている!?

外交は失敗続き

近年、日本は世界で存在感を発揮できていないように思える。

佐藤優氏は、近年の日本政府の外交を、『あえて狙ったとしてもここまで下手な外交はできないのではないか』と評している。

政府は外交における正解を知っていて、わざと外して、国民に不利益をもたらそうとしているのではないか。そう思ってしまうくらい稚拙な外交だったのです。

佐藤優 官僚の掟

具体例の一つとして、2018年6月の米朝首脳会談を挙げている。

そのプロセスの中で、日本政府は一回も直接的に当事者としてかかわることができなかった。

 

その点について、佐藤氏はこのような分析をしている。

「脅威」は意思と能力とによって形成される。そして、北朝鮮は事実上核攻撃の能力は持っている。とすれば、核使用の意思を下げるしかない。

端的に言えば、北朝鮮に対して、制裁・圧力の時代は終わったということだ。

佐藤優氏の説明に従えば、日本政府がギリギリまで「圧力」と言い続けていたのは、政府が方向を誤っていたということになるね。

 

南北首脳会談でも参加できなかった日本

2018年平昌オリンピックで、北朝鮮は金正恩の妹を韓国に送り込んだ。

さらにその後、韓国の国家安保室長が訪朝。その会談内容を報告するかたちで渡米もした。

この流れにおいて、日本は登場していない。

 

佐藤優氏は、ここに二つの敗北があったと書いてある。

まず一つは、文在寅政権の性格の分析における失敗。もう一つが、安倍・トランプ関係の過大評価だ。

 

まず一つ目の失敗について。

外務省の予想は、文政権は反米だから、トランプとうまくいかないだろう。したがって、南北首脳会談をアメリカに阻止されるはずだ、というものだった。

しかし、ふたを開けてみると、その目立ては外れた。これが、政府の大きな失敗だ。

 

もう一つの失敗について。

政府・マスコミともに、安倍トランプ外交は成功だったという見方が強いね。

大統領選挙前はトランプをかなり批判的に見ていたメディアも、安倍トランプ外交に関しては好意的に報道していたように思う。

しかし、実際は違った。アメリカは、鉄鋼・アルミに関税を導入してきた。

日本では、この動きは楽観視されていた。というのも、安倍総理との外交がかなり高く評価されていたからだ。

にもかかわらず、トランプはそういう期待を裏切ってきた。

 

日本のエリートぞろいのはずの外務省だけど、かなり大きな失敗をしでかしているね。

 

外務省は「死んだふり」

東アジアの情勢に関して、日本の存在感は非常に薄れてきている。

これは、日本政府もわかっているはずだ。

佐藤優氏は、外務省が、本来すべきことを提唱していないのではと書いている。

普通ならば、今まで一度も行われたことのない、6者協議参加国の首脳会談を東京で開催することを提案して、これからのイニシアチブを取ろうとするのが外交の定石です。それをしようとしないのは、外務省の不作為です。外務官僚が首脳会談の東京開催を思いつかないはずがありません。

佐藤優 官僚の掟

 

佐藤氏によれば、それは、外務省が「死んだふり」をしているからだ

もし外務省が首脳会談開催を提案したとしても、もし実現しなければ、与党からは力量不足だと叱責される。

また、実現した場合も、左派からは政権のパフォーマンスだといわれ、右派からは拉致問題をおろそかにしているといわれる。

つまり、どうなろうが非難される。

 

そういう場合、何もしないでおくのが一番いい。

佐藤優の言い分では、外務省はこういった理屈によって、活動に消極的なのだそうだよ。

 

 

今回はここまでだよ。

外務省ふくめ。官僚はいろいろとがんじがらめになって自由に動けないように思えるね。

しかし、そういう中で大きく行動する必要があるのではないかと思ったよ(^●ω●^)

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