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マスコミの印象操作について統計的に考える

更新日:

はいどうも、カワウソだよ。

 

世の中には『主語の大きい人』というのがいる。

「そんなこと、世間が許さない」「社会は許さない」というように、自分の意見であるにも関わらず『世間』とか『社会』とか、国民全員が同じような意見であるかのようにいう人のことだ。

これは現代病というわけではなくて、太宰治の小説『人間失格』の中にもこういった『主語が大きい人』というのがいたそうだ。

ニコニコ大百科 太宰メソッド

 

これが普通の人ならともかく、マスコミなんかにおいてもその傾向がある。

マスコミは影響力がけた違いに大きいから、変なバイアスがかかった報道をされるとたいへん困る。

今回は、マスコミの印象操作がどのくらいひどいのかを考えていこう。

ノイジー・マイノリティーの可能性

まず考えなければいけないのは、マスコミの主張がノイジーマイノリティーである可能性だ。

ノイジーマイノリティーとは、『本当は少数派にもかかわらず、クレームを頻繁にかけたりとにかくうるさったりするので大多数の意見だと勘違いされている人・意見』のことだ。

 

Twitterではこの、ノイジーマイノリティーによる被害がいくつか報告されている。

 

この例でいうと、コンビニ利用客のうち、クレームを入れられた会社の社員が多かったということがわかる。

しかし、この会社にクレームを入れた近隣民は、『我々の買い物の邪魔』とクレームを入れていれ、その結果コンビニが経営悪化した。

会社員がコンビニを利用しなくなったことで閉店したとすると、コンビニ利用者のうち会社員の占める割合は3割以上あったのではないかな。

 

たしかに、社員の人が大勢おしかけるなど態度が悪かったのかもしれない。

とはいえ、「利用禁止にしろ」という声が多数派かどうかはわからない。「マナーを守れ」くらいだったら考えうるけれどね。

会社員とくらべて地域の人の方は利用時間帯をずらしやすいだろうし、そのクレームを入れた住民は、『入店時間をずらせない、あるいはずらそうとしない』少数派住民の可能性もある。

 

どちらにせよ、ノイジーマイノリティーは、コンビニを閉店させる程度の迷惑をかける力はある

 

それどころではない。ノイジーマイノリティーは歴史を大きく動かしていたかもしれないんだ

1969年、ニクソン政権下のアメリカでは、学生によるベトナム戦争への反対運動があり、メディアからも注目を受けていた。

しかし、ニクソン大統領は、「大多数のアメリカ国民は戦争に反対していない」として突き放した。

 

実際、この反戦運動そのものは少数派の意見だったようで、その後1972年の選挙でニクソンは50州中49州で勝利を収めている

(参考ページ:ウィキペディア『サイレントマジョリティー』

 

もしニクソンが反戦運動を国民の声として受け止めていたら、歴史は大きく変わっていただろう。

この事例に関しては「迷惑」と切り捨てることは難しいけれど、とにかくノイジーマイノリティーは、かなりの影響力があるということがわかるのではないかな。

 

少数派を多数派に見せる『技術』

アンケートは注意してみなければいけない

こういった『ノイジーマイノリティー』の影響をなるべく減らしても、まだまだ留意すべきことはある。

それが、統計の罠だ。

 

テレビ局の調査などで「渋谷の若者100人に聞きました」なんてのがあるけれど、100人の調査はたいして価値がない

具体的に考えてみよう

なんらかの意見にたいして、『賛成』か『反対』かで100人にきいたところ、

賛成60人、反対40人だったとする。

 

さて、この調査から、賛成多数といっていいだろうか。

実をいうと、賛成多数とは断言できない。

 

なぜだろうか。

くわしくは統計を勉強すればわかるんだけれど、偶然この100人が『ちょっと偏っている』可能性があるんだ。

そういう偏りを考えるために、統計では信頼区間というのを考える。

例えば、『99%信頼区間で35~45%』のように表示されていれば、「100人に聞いたら賛成多数ってでたけれど、1万、1億にんにきいたら変わるかもしれない。それで、もっとたくさんの人にアンケートを取ったら、99%の確率で35%~45%の範囲に収まるでしょう」という意味だ。

 

で、この区間の幅は、調査人数が多ければ多いほど狭まる。つまり、より正確になっているということだね。

さて、では上に挙げた例の「100人に聞きました」の99%信頼区間はどれほどになるだろうか。

 

「100人に聞きました」で、賛成60人、反対40人だったとする。つまり、賛成60%だね。

しかし、この場合の99%信頼区間は賛成が47.4%~72.6%だ。なんと、100人アンケートでは6割だったけれど半数以下の可能性も否定できないということになる。

日本人の過半数が反対している意見でも100人アンケートでは6割賛成となりうるんだね

 

結構不思議に思え得るけれど、100人にしかアンケートを取っていないのだから、ありうる話だよ。

 

てことは、100人アンケートは統計的にあんまり意味ないんじゃないかな。

可能性として、最大10%以上の誤差が考えられる統計なんて、そんなに価値ないと思うよ。

 

でも、逆に「ちゃんと無作為にアンケートしました~」っていって、少数派の意見を合法的に過半数の意見のように見せることもできるね。

主語の大きい人、ノイジーマイノリティーと呼ばれる人は、このあたりの技術を使っているのかもしれないね

 

政権支持率のズレからみる統計的な「マスコミのおかしさ」

 

同じことは、内閣支持率にも言える。

無作為に調査したといっても、1億人に調査していないのであれば、ずれはある。

いくつか調べてみると、NHKやテレビ朝日の政権支持率は、1000人ほどが回答しているようだ。

 

例えば、報道ステーションの調査では、2018年10月時点での政権支持率は39.3%。

回答者は1097人。

この99%信頼区間は 35.5%から43.1%の間。最大誤差3.8%

 

しかし、JNNの調査では、支持率が51.7%となっている。

報道ステーションの結果とくらべて、高いね。ちなみに99%信頼区間を計算しても48.1%~53.3%となる。この範囲は、テレビ朝日の調査の信頼区間とは全くかすっていない。

 

99%ありえない結果が、調査で起こっているんだね

この統計的おかしさを考えると、年代別・男女別の支持率の推移なども考えられるし、あるいは何か手を加えているのかもしれない。

 

 

こういう、統計的におかしな差が生まれるから、政権支持率などの結果は、細かいところまでよくみなければいけないんじゃないかな。

 

何人調べれば確実な結果が得られるか

では、何人を調べればいいだろうか。

内閣支持率などを「ぴったり」計測することはできない。できるとすれば、それは投票率100%の選挙だけだ(正確には得票率と支持率は違うけれど)。

それはむりだとしても、最大誤差2%くらいにはとどめておきたい。

つまり、賛成40%とでた時、その信頼区間は38%~42%くらいにしたい。

 

そうするためにはどうすればいいか。

答えを言うと、約4000人。4000人調べれば、かなり正確なデータを得ることができる。

テレビ局の人には頑張ってほしいよ。

 

今回はここまでだよ。

データを見るときは、調査人数をしっかり見ることにしよう(^●ω●^)

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