はいどうも、カワウソだよ。
世の中にはIQテストというものがある。
多くの人が自分のIQを知りたいようだ。
ツイッターなどで、『あなたのIQは』が時々トレンドになることからも、少なくとも「なんとなく」自分の知能の程度がどのくらいか知りたがる人は多いと推測している。
そういう人の心理を狙ってなのか、ネット上にはさまざまなIQテストがあふれかえっている。
しかし、ここで一つ疑問がある。
はたしてそういったIQテストは実際にIQを測るのに適しているのだろうか?
ネット上のIQテストをいくつか調べたところ、ネットのIQテストの多くは、実際の知能検査で測られるIQの定義を十分満たしていないことがわかったよ。
また、不十分なのはネットのIQテストだけではない。
高IQ団体として知られる『メンサ』の入会テストにおいても、受験者のIQを適切に測ることはできないようだ。
今回は、実際IQテストやメンサの入会テストがIQをどの程度まで測ることができるのかみていこう。
(追記 Quoranの質問で、当記事が取り上げられました。
入会テストの形式から考えると、MENSAは「天才集団」というよりは「図形パターン認識がめちゃくちゃ得意な集団」ではないでしょうか?
現時点で最も評価されている回答が、『図形パターン認識だけではない』というもののようです。しかし、問題形式が変わったという話は聞いたことがありません。新たな情報が入りましたら再度当記事において更新する予定です。)
IQテストではIQを測れない
IQで測られるものは多種多様
まずそもそも、IQとは何だろうか。
それについて考えていこう。
『IQ=頭のよさ』と考えている人は多いと思われる。
だからこそ、「お金のIQ」とか「恋愛IQ」といった言葉が使われている。
しかし、厳密にはIQは頭の良さとは違う。
では、IQはなんなのかを詳しく見ていこう。
実を言うと、IQの定義にもいくつかある。今回はその中で日本で最も一般的な田中ビネー式というものをみてみよう。
ウィキペディアによれば、田中ビネー式知能検査では、結晶性知能・流動性知能・記憶力・論理推理の4つを測ることができるそうだ。
記憶力と論理推理はいいとして、前者二つをみていこう。
まず結晶性知能。こちらのサイトにはこのように書いてある
過去の経験が土台になる専門的または個人的な能力をさし、ことわざで表すと「三つ子の魂百までも」というような概念にあたる。 免許や学位などの専門的な知識や、料理などの日常の習慣、長年にわたる趣味の手順や方法なども結晶性知能にあたる。
つまり、結晶性知能というのは過去の経験・知識の豊富さの度合いとということだ。
記憶力などの能力と比較すると、高齢になっても低下しにくいという特徴がある。認知症患者でもこの能力を失わない人もいるそうだ。
亀の甲より年の劫とか、おばあちゃんの知恵袋とか言うのは、高齢者の方が高い結晶性知能を備えており、昔からの経験をはっきりと覚えていることを指しているんだね。
それに対して流動性知能。こちらは一般に「頭の良さ」と呼ばれるものに近いだろう。
流動性知能とは、正式には流動性一般能力と呼び、動作性の知能と捉えることができる。
新しい場面への適応に必要な能力をさし、具体的には、推論する力、思考力、暗記力、計算力などが挙げられる。 集中力も流動性知能の一部である。
これらの能力を応用しながら、初めて経験するような新しい場面に遭遇した際に「どのように行動すればよいか」「どう対処すればよいか」と考え振る舞うことができる。
経験が少ないのに目新しい環境にすぐ適応できる人、経験に頼らずとも適切な行動をとるために必要なのが、この流動性知能ということになるね。
この流動性知能(推論・記憶含む)と、結晶性知能の二つが、実際のIQテスト(知能検査)では計測されるんだ。
厳密に言えば、IQは、推論・記憶だけでなく、知識の度合いも関係するということなんだね。
ネットのIQテストはIQの一部しか測らない
さて、ではネットのIQテストは、この水準を満たしているだろうか。
僕がしらべた中では、結晶性知能と流動性知能の両方を計測している、本当の意味でのIQテストは見つからなかったよ。
例えば、『IQテスト』とGoogle検索してトップに出たコチラのテストを見てみよう。
なかなか面白く作られていた。
わずか15問の問題数で、法則性の発見・文章理解能力・計算など様々な種類の問題が出題される。
例えば次のような問題。
1,2,4,6,9,18,16,?
?に当てはまる数字は何? (問題は私作成のオリジナル問題です)
これはいわゆる数列問題で、数列の法則性を発見する能力が必要となる。
ほかにも、ABCDEのアルファベットを条件のもとに並べ替えるなど、読解力と思考力が試される問題もあった。
しかし、そういった問題は、あくまでIQ、その中でも流動性知能の一部しか検査していない。
15問しかないから当たり前といえば当たり前だろうけれど、流動性知能の一部である記憶力の検査がなかった。
結晶性知能については全く触れられず、かといって流動性知能に限ったとしても完璧ではない。
他のIQテストにおいても似た感じだったよ。すなわち、IQの中でも流動性知能にかんする分野のみしか計測していないんだ。
当然のことながら、こういうIQテストはあくまでゲーム感覚で楽しむことを想定しておこう
メンサの入会テストも不十分だ
JAPAN MENSAの試験はネットのIQテスト未満
IQといえば、MENSAを思い浮かべる人もいるだろう。
MENSAはIQ上位2%の人がはいれる組織とされている。
メンサ日本支部(JAPAN MENSA)の有名人会員としては、ロザンの宇治原さんや、声優の小岩井ことりさんらがいる。
小岩井ことりさんも入会!メンサ会員の特徴を現会員が考えてみた
メンサに入るためには、IQが全人口の上位2%に入っていなければいけないらしい。
しかし。一部では、合格率は実は60%くらいなのではないかともいわれている。
MENSAがやけに珍しく見られるのは他の要素もあると考えているよ。詳しくはこちらの記事を読んでね。↓
元メンサ会員だけど、高IQ団体に入るメリットはないと思っている
で、実際メンサのIQテストを受けた身からすると、この合格率60%という噂はあながち間違いではないと思う。
というのも、入会テストで検査される能力があまりに限定的で局所的過ぎるからだ。
メンサ入会試験は公表できないんだけれど、ネットのIQテストの中でメンサテストに近いなと思ったのがこちらのサイト。
本番は30分で45問試験だったけれど、出題形式はこのIQテストと同じだ。
図形が3行3列、右下を除く8つ描かれていて、右下には当てはまる図形はどういうものかを答える。
このタイプの問題を45問解かされるんだ。
つまり、この45問で問われる能力はまったく同じ。法則性に気付く能力ただ一つだ。
かといって、その能力がずば抜けて高くなければ合格できないかといわれると、そうでもない。
実感としては、上記したネットテストと同じくらいのレベルに感じるよ。
すなわち、ネットIQテストと難易度は変わらず、試験範囲を狭めたのがMENSAの入会試験ということになる。
結論を言うと、高IQ集団を自慢しているMENSAのテストで測られる能力は、IQのほんの一部でしかない。
あくまで入会試験だけで見れば、メンサの試験はネットのIQテストに劣ると言わざるを得ない。
また、そういう偏ったテストを実施しているのだから、はたして本当にIQが高いかどうかというのは、疑問だよ。
上でも述べたように、医学的な知能検査では、記憶力や知識も問われる。
メンサ会員であったり、IQテストで高得点を取得していたりしている人が、医学的な知能検査で高IQをたたき出す保障はないよ。
よくメディアや書籍において「MENSAはIQが人口の上位2%の人が~」と宣伝している(というかJAPAN MENSA自体がそう自称しているのだけれど)けれど、もしもメンサ会員に実際の医学的な知能検査を受けたとしても、彼らのIQが人口の上位2%である保証はどこにもないよ。
メンサ会員の人には、実際に医者の監督のもとでIQテストを受けてほしいな(僕も受けたいよ)
今回の記事をまとめると
IQには『経験知』と表現できる結晶性知能と、いわゆる『頭の良さ』として挙げられる流動性知能とがある。
ネットのIQテストでは流動性知能がはかられるが、記憶力が検査されないなど、完璧ではない。
MENSAの入会試験は流動性知能の中でも、パターン性・法則性発見能力のみを調べるものであり、試験される能力の範囲はネットのテストにも劣る
今回はここまでだよ。
みんなはメンサで消耗しないようにしようね(^●ω●^)
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