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大学ランキングをあげるにはどうすればいいか考えてみた

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はいどうも、カワウソだよ。

毎年ニュースになるのが、タイムハイヤーエデュケーション(THE)から発表されている世界大学ランキング

毎年このランキングは注目されるし、国力の指標だと考える人もいる。

例えば安倍総理は2013年、「10年以内に世界大学ランキングトップ100に日本の大学を10校入れる」と言っていたね。

 

とはいえ実際、その道は厳しいといわざるを得ない。

TIME2019で100に入ったのは、東京大学(42位)と京都大学(65位)の2校のみ。

ちなみにTHE2019においては、中国から3校、韓国から2校、シンガポールから2校がトップ100入りしている。

ここから考えても、日本の大学10校を大学ランキングトップ100に入れるのは相当な改革が必要と考えられるよね。

 

では、安倍内閣・文部科学省は国内大学の世界大学ランキング上昇のために、具体的に何をすべきだろうか。

今回はそれについて考えていこう。

関連記事→大学ランキングから、東大京大が世界からどう思われているのか分析してみた

 

 

大学ランキング向上を目的としてはいけない

ランキングの結果はあくまで副次的に過ぎない

 

まずここで基本としなくてはいけないことがある。

それは、世界大学ランキングトップ100入りを第一目的としてはいけないということだよ。

学問論についてはいろいろ考えがあるだろうけれど、まずは研究を充実させ、優秀な研究者をたくさん輩出し、その結果ランキングが上がる、という風にしなければならない。なんのための研究だということになるからね。

いきなり大学ランキングを目標にするのは、ちょうど京都の老舗料亭が、ミシュランに選ばれるにはどうすればいいか考えるようなものだと思うよ。本末転倒に思えるね。

 

池上彰さんも、佐藤優さんとの共著 『知らなきゃよかった』で言っているけれど、世界大学ランキングは、英語の論文英米の大学の順位が高くなるような基準で作っている。教授や学生のレベルはあまり関係なく、例えば佐藤優氏に評価されているバウマン工科大学モスクワ国立大学モスクワ神学アカデミーなどは世界ランキングトップ100入りしていない。(ちなみに、大学ランキング2019においてロシアの大学で最高ランクはモスクワ大学の199位。)

 

また、研究に重点を置かれるから、文系学部が強いとされる早稲田や慶応は601~800位だし、文科系大学の超名門・一橋大学や東京外国語大学がランキング外となっている(日本版では国内14位)

世界大学ランキングの順位が低いからといって、その大学のレベルが必ずしも低いわけではないということを、意識しておこう。

 

 

それでも大学ランキングの順位を上げるためには

なぜ帝京大学は早慶に勝ったのか

とはいえ、それでも東大や京大の大学ランキングが高いと嬉しい。

こういう大学が世界トップテンになれば、少なくともこのランキングを根拠として「日本の大学は凋落した」という人は減ってくるだろうしね。

逆に、分析することで「世界大学ランキングなんて大したことない」という結論が見えてくるかもしれない。

 

ともかく、世界大学ランキングを分析してみよう。

今回面白いなと思ったのが帝京大学。偏差値でいえばそんなに高くない。知名度も、コンビニで聞く影響によって、帝京平成大学に抜かれている感が否めない。

しかし、そんな帝京大学、世界大学ランキングでは、九州大学や北海道大学と同じ401~600位の位置にある。

なぜこの大学の評価が高いのかを分析していき、世界大学ランキングについて考えていこう。

 

世界大学ランキングは、Teaching(教育), Research(研究), Citations(論文引用), Industry Income(産業界からの収入), International Outlook(国際性)の5つの点から点数が計算される。

同じスコア(37.1–41.6)だった九州大北海道大帝京大藤田保健衛生大学を比べてみよう

 

スコアはそれぞれ

教育  研究  論文引用 産業収入 国際性

九州大   46.2     39.8       34.0            77.3           37.0

北海道大  45.0       39.7        34.9            59.0            35.3

帝京大     13.7       10.2         93.1           35.9           18.2

藤田大    23.7          8.7        88.1            37.3            18.3

同じ順位と言っても、九州大・北海道大と帝京大・藤田保健衛生大とでは大きく違う点があるのが良くわかるね。

そう、後者は論文引用の点数が圧倒的に高い

ちなみに、帝京大・藤田保健衛生大は、国内の大学でランク入りした中で、この論文引用の点が高いトップツーだったよ。

 

では、この2大学はなぜ論文引用の評価が高いのか。

研究分野と被引用数について研究したブログがあったから見てみると、純粋な論文数でいえば化学やエンジニアリングが多いが、被引用数では分子生物・遺伝学や神経科学の論文が多いことがわかる。

帝京大も藤田保健衛生大も、ともに医学部を有する大学だ。となれば、分子生物や神経科学の研究をしていてもおかしくない。

 

この大学が比較的高順位にあるのは、研究内容も関係しているのではないかと思うよ。

 

逆に言えば、

東大や京大が手っ取り早く大学ランキングをあげるためには、遺伝学や神経科学の研究を促進すればいいということになるね。

引用が加味されなければ東大京大はもっと高順位だ

上に挙げた例は、帝京大と九州大との比較だ。

 

東大と他の大学とではどうだろうか。

例えば、今回31位だった北京大。北京大学は清華大学と並んで中国(本土)トップ大学として知られている。いわば、中国の東大だ。

その北京大学と東大とを比べることで、東大の強みを考えていこう。

 

ずばり、THEの調査を比較すると、「研究」や「産業収入」の分野においては東大の方が北京大よりも高い。

一方で、論文引用数の少なさが東大で目立つ。

もし「論文引用数」の点が大学ランキングで考慮されなければ、東大はもう少し順位を高くしていたかもしれないね。

 

 

政府は大学に金を回せ

日本の大学の問題点

 

上に書いたように、あくまでも大学ランキングを上げる目的であれば、神経科学など特定の分野の研究を励起すればいい。

しかし、それは学問に対してあまりにも不誠実だね。

論文をたくさん書かせて、いろんな分野で優れた研究ができるようにしなければいけない。

 

では、論文をたくさん書くにはどうすればいいか。

高度な実験をやるのがいいね。

国は大学にそのための十分な資金提供をしていないのではないかと思うよ

 

文科省の調べでは、日本が教育に対して出している資金のGDP比は、OECD諸国では最低だ

世界各国と比べると、日本は大学にお金を費やさない国だとわかる。

 

政府がお金を出さない限り、大学はお金がないからいい実験ができず、結果いい論文を多く書けない。

日本の優秀な人が、優れた研究をできないでいるということになる。

 

事実、京都大学iPS研究所は、iPS細胞の研究に寄付をお願いしている

iPSの研究に、国がもっと多くの資金を提供すれば、山中伸弥教授も、金銭面を気にせず、より自らの研究に集中できるのではないかと思うよ。

 

まとめると

日本の主要大学は他のアジアの大学と比べて論文被引用の分野に弱い。

大学ランキングで一流大学がトップに選ばれるには、政府が資金を提供し、より高度な実験・研究ができる環境を作ってより質の高い論文が書けるようにすることが必要なのではないか

 

 

今回はここまでだよ。

将来日本の大学が世界に誇れる研究を出せることを、心から願っているよ(^●ω●^)

 

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