注意)これは医学的に根拠のあるものでは決してありません。あくまでも自らの個人の体験に基づいた記事です。この記事を過信せず、参考程度に見ていただければなと思っています。
はいどうも、カワウソだよ。
世の中には発達障害というものがある。有名なものに、ADHDやアスペルガー症候群というものがあるね。
今ではアスペルガー症候群という病名はなくなり、医学的にはasd(自閉症スペクトラム障害)と呼ばれる障害の一つに含まれるようになっているんだ。
僕自身、このasdの障害を持っていて、多くの人ができることができないでいる。
人の何倍も手先が不器用で、例えば折り紙で鶴や紙飛行機をキレイに折れたためしがない。
ほかにも、人の気持ちを理解すること・空気を読むことができない、すらすらとしゃべることができないなど、いろいろ生きていて障害を経験している。
また、asdなどの発達障害は他の障害を併発しているケースもある。
僕の場合、睡眠障害、そして、これから説明していく聴覚情報処理障害(APD)も併発している可能性が高い。
例えば、僕にはいわゆるカクテルパーティー効果(聞きたい音声を選択的に聞き取れるという効果)が弱い。居酒屋なんかではゆっくり・大きな声で言ってもらわなければ理解できない(それでも音声理解よりも読唇による理解の度合いが高い)
詳しくはこちらの記事にも書いたから読んでみてね。
集中促進アプリTideはカクテルパーティー効果のない僕の必需品となった。
そのほかにも、日常の物音のせいで作業ができないことが多々ある。電車に乗っている時は、読書ができない。一応字面を追うことはできないけれど、特に小説を読む際、まったく内容も単語も頭に入らない。
それで、どうにかしないとと思いいろいろ調べていたら、ある脳トレを発見した。
それが、二重N-back課題。過去記事でも少し触れたけれど、N-back課題はワーキングメモリーの容量を大きくする、平たく言うと頭を良くする効果があるといわれていたんだ。
それで、実際このN-back課題を数日間使ってみて、発達障害(asd)の自分に変化があらわれたかどうか、書いていくよ。
(追記)後で知ったことですが、より詳細な研究により、二重N-backに効果は見られないという結論が出されています。現時点で私自身このN-backはやめており、かつそれによって能力が落ちたと感じてはいません。その点をご理解いただけると幸いです。
目次
二重N-backとは
記憶の更新のトレーニング
まず、N-back課題とは何か、そして、二重とはどういうことか、それぞれ説明していこう。
まず、N-back。Nは数学における整数・自然数を表すことが多いけれど、今回もその意味だ。
つまり、Nの代わりに1とか2とか3とかが当てはまる。
で、backは文字どおり、後ろの意味。
それで、N-back課題というのは、
ある刺激がN個前のモノと同じか判断する課題のことだ。
例を挙げて考えてみよう。
例えばN=3の課題を考える。
それで、以下のようなアルファベットが順に聞こえたとする。
T L H C H S C C Q L C K L H C Q T R R K C H R
太字でかいた2つのCとLの2文字前をみてみよう。
それぞれ、同じくCとLが書かれているね。
つまり、今読まれた文字と、それを含んで3文字前とが同じアルファベットというわけだ。この瞬間、プレイヤーは反応しなければいけない。
詳しくはこちらのゲームをやってみてね。言葉で説明するのには限界があるよ。
デュアルタスクで脳を鍛える
もちろん単なるN-back課題でも脳は刺激されると思うよ。文字列を順番に記憶する必要があるから、記憶力のトレーニングには十分なるんじゃないかな。
でも、N-back課題には二重課題というものが存在する。
このゲームのように、単純計算をしつつN個前の計算結果を覚えておくというのも二重課題だし、もう一つ、二重の情報を同時に記憶するという二重課題も存在する。
現在僕がやっている二重N-back課題は後者で、位置記憶と音声記憶の両方を同時にする必要がある。
3×3マスのどれかが青く光ると同時に、アルファベットが聞こえる。それで、光るマスの位置がN個前と同じであればキーボードのAを押し、音声がN個前と同じであればLを押す。
僕は二重N-backで世界一有名だとされるBrain Workshopをやっているよ。
スマホアプリでも、メンタリストDaiGoさんとその弟が作成したアプリがあるよ。
ダウンロードはこちらからだよ。
それで、この二重N-back、相当脳トレの効果があるらしいんだ。
Brain Workshop公式によると、集中力を上げ、ADHDやADD(注意欠陥・多動性障害)といった発達障害の改善に役立つそうだよ。
任天堂の脳トレゲームで有名な東北大学の川島隆太教授も、このN-back課題を用いた『鬼トレ』で、集中力や判断力・実行力の向上が期待できるといっているよ。
で、そんな二重N-back課題を実際にやってみて、果たして発達障害の改善に効果的なのか、それとも効果ないのか、実験してみたよ。
二重N-back課題を実際にやってみた
体験した、二重N-backの効果
Brain Workshopで二重N-backを4か月間やってみたよ。
最初は週3、1回あたり10試行
8月20日以降は毎日20試行(9/11~13を除く)
本当はIQテストなどを課すべきだろうけれど、もともとそういう形式は得意で、巷間のテストでは満点が取れるから、計測しないことにするよ。
だから、あくまでも個人的な、主観に基づくものだけど、それでみると劇的な変化が現れたよ。
まず一つ。
読書スピード。
4月あたりまで、ノンフィクションはともかく、フィクション作品を読むのに苦労していた。
例えば、天平の甍を読むのに、最初90分ほどかかっていた。
これは何度読んでも、さほど縮まるタイムではなかったよ。
しかし現在(9月)、この200ページほどの文庫本を読むのにかかった時間は、25分。それも、通学中に(Tideアプリで音声を聞きながらだけど)、だ。
もちろん、速読を意識したわけではないよ。しばらく読んでいなかったから、内容も結構忘れていたところが多いしね。それで25分。単純計算で3倍ほど読書スピードが上がったね。
そしてもう一つ、効果が発揮された。個人的にはこっちの方がより感動的なんだけど、Tideが要らなくなった。つまり、電車の雑音の中でもちゃんと読書ができるようになったんだ。
仙台にいたとき、うっかり、iPhone8(ジャックポットなし)とイヤホンを結ぶケーブルを持参し忘れた。それでも、その時初めて読んだ、遠藤周作のわたしが・棄てた・女(309ページ)を、地下鉄に乗っている14分で、雑音を気にせず集中して読破できた。
もちろん、東京の電車と仙台の地下鉄だとうるささも違うし、単純比較はできないだろう。でも、発達障害の特徴の一つに、『雑音があると気になって作業ができない』というものがあることを考えると、相当改善したと実感しているよ。
効果があるのは一部だけ!?
しかし、効果的な世に見えるN-back課題。
効果がないという意見もある。
それによれば、n-backのようなワーキングメモリーを使うタスクをこなしたところで、ワーキングメモリーは鍛えられないという結果があるそうだ。
一部の実験では確かに能力の向上が見られたけれど、それはタスクに直接かかわる分野に過ぎないということも指摘されている。
実際、その点は僕の実感した効果についてもあてはまる部分がある。
僕のやった二重N-back課題においては、聴覚の情報と視覚の情報とを分離して処理することが求められる。
となれば、電車の騒音の中で小説の文字情報を理解する能力が鍛えられてもおかしくないね。
実際、同じく聴覚情報処理障害の点でいえば、カクテルパーティー効果の能力においては全く変化を実感していない。
HUBで会話する機会が最近あったんだけど、BGMのかかっている中で会話するのは大変だった。他の人と比べてゆっくり大声でしゃべってもらったり、スマホで文字入力してもらう必要が何度かあった。
ということは、二重N-back課題は、カクテルパーティー効果の能力には影響しなかったということが言えるね。
DNB・BrainWorkshopのコツ
効果だけでなく、せっかくなので、DNBやBWというデュアルNバック課題をするコツも書いていこうと思う。
本来は脳のワーキングメモリーを上げるのが目的なので、あまり本質的でないところで攻略しようとするのは微妙な思いがあるのだけれど、実際得点は高い方がいいしね。
DNB・BrainWorkshopで高得点を取るコツ。
それは、『まとまりで覚える』だ。
どういうことか、N=3の場合を例に考えてみよう。
以下、単純化するためにアルファベットのみ書く。
例えば、順番に以下のように流れてくるとする。
A,G,P,I,L,P,I,H,P
これを覚えるのは大変だ。文字がでてくるたび「えっと、3つ前の文字はなんだっけ」と思いだすのは非常に難しい。
しかし、以下のように覚えたらどうだろう。
AGP,ILP,IHP
つまり、『AGP』、『ILP』という風に、3つカタマリとして覚える。
そうすると、「前も3番目がPだったな」と、覚えやすくなる。
これが、DNBをやる上でのコツだと思うよ。
デュアルエヌバックでIQはあがるのか
さて、二重Nバック課題はIQ上昇にも効果があるのか。
これについて、研究結果が出ている。
Improving fluid intelligence with training on working memoryによると、二重Nバック課題をした人は、流動性知能が高まるということが発覚したとのことだ。
流動性知能というのは、知識によるものではなく、物事を柔軟に考えたり、新しいコトに対処したりする能力のことだ。ネットのIQテストなどにおける『IQの高さ』は、主にこの流動性知能の高低をいっているよ。
さらに、デュアルエヌバックによる流動性IQの効果はどんなタイプの人にも効果的だったという。
すなわち、もともとパフィーマンスの低い人にも、元から脳のはたらきがよかった人にも、同じように、流動性IQの上昇がみられたというんだ!
これはもう、IQを高めたい人は実践すべきだと言っているようなものだね。
追記 Nバックでワーキングメモリは上がらない!?
上で、Brain WorkshopやDNBなどのNバック課題でワーキングメモリが上がるという論文を紹介したが、後日、実は効果がないという可能性を指摘した論文を発見したよ。
Working memory training revisited: A multi-level meta-analysis of n-back training studies
33件の論文をメタ分析したこの論文では、N-back課題がどのくらい認知機能や能力に影響を与えたかを調べている。
それによると、Nバック課題の効果は、
Nバック課題の能力には0.62(中程度)影響があるものの、ほかのワーキングメモリの能力には0.24(低い)、認知の統制と流動知能には0.16(低い)という結果になった。
なんと、Nバックをやると、Nバックはうまくなるけれど、ワーキングメモリや認知機能にはほとんど影響がないということが分かったんだ。
また、項目を変えて、ワーキングメモリ、流動知能それぞれにおいての言語系・非言語系の能力をそれぞれ計測したところ
ワーキングメモリ 非言語 0.19
ワーキングメモリ 言語 0.18
流動知能 非言語 0.18
流動知能 言語 0.03
で、すべて影響は低いことが判明していた。流動知能(言語)に関しては、統計的に有意でない値だと言える。
プラスの値だから『逆効果になることはない』のだけれど、何か超絶的な効果を期待して励むのはオススメしないよ。
実感としては効果があると思ったのだけれど、正直様子見だね。ほかの脳トレの情報があればまたそちらの情報について更新していくよ。
追記・BrainWorkshopをやめた話
実は、この二重N-back課題をすでにやめているよ。
Nbackの話をしていて、最後にそれをやめた話をするのはどうかと思ったけれど、本当の話だから書いておくよ。
そのかわり、何をやったか。
これの何がいいか。毎日15分くらいのテストを受けるのだけれど、それと同時に、自分の生活状態も記述する。睡眠時間だったり、ストレスの度合いだったり。
これにより、どうすれば自分の脳が最もはたらくのか調査できるんだ。
これによって、自分にあった生活スタイルを送ることができるから、とても役だつと思うよ。
ちなみに、体重や睡眠時間などいろんな要素とこの得点の関係を調べているのだけれど、どうも、僕の場合はなぜか体脂肪との関係が一番強いことが分かったよ。
結論
今回やったN-back課題では、音声と位置を別個に記憶する課題で、その結果向上が見られたのは
・早く文字情報を理解する能力
・雑音の中で文字情報を理解する能力
の2点だったよ。
逆に、カクテルパーティー効果においては全くと言っていいほど変化が見られなかった。
つまり結論としては
いくつかの論文でも検証されているように、N-back課題では効果がある分野と効果がない分野とがある
ということが言えるのではないかな。
今回はここまでだよ。
N-back課題にこだわらず、より自分が健常者になるための手法を見つけたらその都度実験し、またブログに書いていくつもりだよ(^●ω●^)
※この記事はあくまでも個人的体験に基づいており、科学的な実験・検証とは異なるということを再度ご理解ください。
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