週間こどもニュースで人気を博し、わかりやすい説明でおなじみの池上彰さん。
普段の優しいイメージと違い、選挙特番ではかなり踏み入った質問をすることでもおなじみだね。
では、なぜ彼はあれだけ博学でかつ分かりやすい説明ができるのだろうか?
あるいは、一般の人でも池上彰さんのような的を射た説明・鋭い質問ができるのだろうか?
そういった点について書いたのが、今回説明する『知の越境法 「質問力」を磨く』だよ。
池上さんは、自身を振り返って、「やむを得ずした」経験が、現在の自身を形作っているのだと書いているよ。
職業や研究の専門化が進む今の時世、専門を超える「越境法」を身に着けるにはどうしたらいいか、詳しく見ていこう。
『池上彰』はこうやって作られた
『専門性がない』は長所になり得る
まず池上彰さんの特徴の一つに、いろんなことを知っているというのがあるね。
主に政治の解説をしていているけれど,しかしそれだけでなく、ビットコインから原爆・水爆の仕組みまで、時事に関係することならほとんどすべてをわかりやすく解説してくれる。
そういった幅の広さは、NHK時代に培ったものだそうだよ。
池上彰さんはNHK時代、解説委員を希望していたそうだけど、専門性がないという理由で断られたそう。
そこで、自分の強みとは何かを考えた。
『知の越境法』では、次のように書いてある。
では、私の強みとは何だろう、と考え直しました。弱点と思われたことが実は強みだった、ということはよくあることで、私はその専門性のなさ=幅広く何でも知っている、というのが他人と違うところなのではないか、と気が付きました。
池上彰 知の越境法 「質問力」を磨く
NHKでの彼の仕事もまた専門性がなくバラエティに富んでいた。検察庁や裁判所を回ったり、日銀にも訪れる。エイズ問題も取材する。それをきっかけに文科省の記者クラブに配属。宮内庁を担当したこともある。
そういった「専門性のなさ」が「幅広い知識」につながったと著しているよ。
さらに、そういった
アウトプットを意識したインプット
では専門性がなければ池上彰になれるのかといえば、そうではない。
『わかりやすい解説』は彼なりに意識した結果だ。
では何を意識したかといえば、アウトプットを意識したインプットだ。
池上彰さんは本を書く際に大量の本を読む。
ある本の執筆において、主要参考文献はなんと131冊だったという。
まずは本を読んで知識を整理し、かつその中を流れるストーリーをつかむ。そうやって彼の知見は深まっていくんだ。
しかし、そういった参考文献の中には理解が難しい場面もおおくある。たとば、マルクスの『資本論』や、イスラム教の聖典『コーラン』がそう。
池上さんも大学生時代に資本論を読んでみたけどわからなかったそうだよ。
しかし、有名になってから、資本論の解説書を書いてほしいと依頼が来た。
それで、「高校生にもわかってもらえるように書こう」と思い、再び資本論に挑戦した。
そうすると、不思議なことに、意外とスムーズに理解ができたんだって。
その問題意識をもって読み始めると、あら不思議。以外とスムーズにページをめくっていくことができたのです。と同時に、その内容を高校生に語ることで、自分の理解度も一層深まりました。そうか、先生たちは、生とに教えることによって、自分が一番勉強しているのだ、ということにもきづきました。
池上彰 知の越境法 「質問力」を磨く
自分ではわかったつもりでも、いざ人に説明しようとなればわからなくなる、ということはよくあるよね。でも逆に、あらかじめ誰かに説明することを想定して読んだり聞いたりすれば、本質的なことへの理解が深まるということだね。
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池上彰の『質問力』
「ぬけぬけと」質問する
池上彰さんといえば、政治家の言葉を詰まらせる鋭い質問でおなじみだよね。
ではそんな「質問力」はどうやって磨かれたのか?
それを解明するヒントとして、池上彰はアメリカのABCニュースのリポーター兼アンカー、サム・ドナルドソンの話を、国谷裕子さんの『キャスターという仕事』という本を引用して挙げている。
国谷さんは、「なぜあなたは大統領に厳し質問をするのか」と尋ねました。彼(ドナルドソン)はこう答えたそうです。
「国谷さん、小さな田舎町でアップルパイコンテストがあり、そのコンテストの優勝者が、隣に住む素敵なおばあちゃんだったとしましょう。僕はそのおばあちゃんにも、優勝おめでとう、でもおばあちゃん、そのアップルパイに添加物は使わなかったのかい?と聞きますよ」
「じゃなリストなんだから、質問をするのが仕事だよ」というわけです。これにはまいりました。忖度無しの質問。これがジャーナリストの仕事なのですね。国谷さんも、まさにそういう仕事をしていたのだとおもいます。私も志は同じですが、やりすぎると友達をなくしますね。
池上彰 知の越境法 「質問力」を磨く
ジャーナリストは質問が仕事。忖度せず、あえて嫌われるようなことも言うのが仕事だというわけだね。
どうも、これは日本のジャーナリストに向けて、彼のメッセージなんじゃないかと思うってしまうね。
「そんなバカな」質問をする
では質問力を高めるにはどうすればいいか。池上彰はこう書いている。
質問力を高めるには、素朴な疑問を恐れない、ということが大事です。あるいは、これを聞いたら恥をかくとか恥ずかしいとか思わないことです。
人間にはプライドがあるので、知ったかぶりをしたがります。こどものように、知らないことは知らないと聞いてみるのです。
池上彰 知の越境法 「質問力」を高める
初歩の質問が一番怖い、というのは、例えば学会の発表でもそうだよね。
「素人質問で申し訳ないのですが……」「基礎的なことを聞くようですみませんが……」といった質問が一番怖いというのは、研究者あるあるだよね。
それと同じで、大口たたいている専門家でも、意外と基礎的なところが抜けている。あるいは、漠然としか理解していない。
そういったところを踏まえて、ニュースを見る際の注意点を彼は記している。
官僚や政治家が、わかりにくい説明を始めたら、わかってもらうと困る隠し事があるのだと思った方がいいでしょう。
池上彰 知の越境法 「質問力」を磨く
知りたいことは何でも質問する、それで相手の力量がばれることもある、おかしな答えが出てきたら、その人はわかっていない、ということだね。
知の越境法
新聞の効能
池上さんが新聞を毎日何社も読むというのはよく知られているけれど、それが知の越境法の一つだと書いている。
実際、新聞の紙面は雑多な記事で埋まっています。首相の答弁に突っ込みを入れる野党の記事のすぐそばに、地方再生で活躍するキーマンの写真入り記事がある。次のページにはオランダやフランスなどでの右傾化の流れRが解説されています。
池上彰 知の越境法 「質問力」をみがく
単に自分の知りたい情報を知るだけならネットだけでいい。でも、新聞にはネット速報にはない文化性・雑多性がある。そういうところで、さまざまのことを複雑に考える能力を身に着けるんだね。
実際、フェイクニュースがこう流行しているのには、新聞を読まない、あるいは読んでも自分の興味あるところしか読まない人が増え、複雑なことを考えられなくなったことが関係しているとも書いているよ。
これには反論もあるかもしれないけれど、衝動性だけでフェイクニュースをころっと信じてしまう人が増えたのは、事実なんじゃないかな。
「ゆいかおりの小倉唯と石原夏織は不仲だった」というフェイクニュースを平気で垂れ流すブロガーを処分したい
「左遷」は越境になる
池上さんは、左遷こそ越境だとも書いている。
まず、知の越境には「自発の越境」と「受け身の越境」とがある。
自発の越境とは、その名の通り、自ら進んで、自分の安定な位置をから外れてみる、冒険してみるということだ。
しかし、そんなことができる『冒険家』はすくない。
では、どうすれば越境できるか。
それが、「受け身の越境」すなわち「左遷」だ。
左遷とはすなわち、自分が今までいなかったところに(地理的・立場的問わず)強制的に移されることだ。
つまり、人は左遷されることによって「今までやってきた方法が必ずしもうまくいかない」世界に飛ばされる。
そういう場所に移動させられると、自分の考え方や知識を見直すいい機会なのではないか、池上さんはそう書いているよ。
今回はここまでだよ。
幅広い知見を得て、池上さんのようなブレない人間になろう(^●ω●^)
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