公開日:2018年5月8日

ひふみんこと加藤一二三が「天才」を語る-羽生善治論 「天才」とは何か 加藤一二三


2017年は将棋ブームの年だったね。

 

史上最年少棋士藤井聡太さんが29連勝し、彼のプロ初の対戦相手で最年長棋士の加藤一二三さんが引退。プロ棋士AIと戦う電王戦も話題となったね。

そういったブームに乗り、『りゅうおうのおしごと!』『三月のライオン』『将棋めし』など、将棋を題材とした漫画や小説も多く発売された。

 

で、そんな将棋界の頂点に立つ男、羽生善治

2018年には国民栄誉賞受賞を受賞した、生きる天才だね。

で、そんな天才を、もう一人の天才、加藤一二三が評したのがこの本、羽生善治論 「天才」とは何か (角川oneテーマ21)


羽生善治論 「天才」とは何か (角川oneテーマ21)

今では加藤一二三さんは「ひふみん」の愛称で愛すべきおじいちゃんという感じだけど、彼が天才であったことは間違いないね。

今回は、そんな神武以来の天才、加藤一二三が見た羽生善治を感じ取っていこう

 

加藤一二三の「天才論」

天才の定義

まず、加藤一二三さんは、棋士はみな天才としるしたあとで、自身や羽生善治さんのような「大天才」と呼ばれる人の定義をこう考えているよ。

無から有を生み出すことのできる人 -加藤一二三 羽生善治論

 

それを将棋の例でいうと、「若いころの着手やたてた作戦が、即公式になり、定跡化する」のが天才といっているよ。

トッププロ棋士が新手を指す前に若い奨励会員が思いついている場合があるそうだけど、加藤一二三はその経験があるそうだよ。

 

そしてもう一つ、天才のふたつめの条件に「早指し」に強いことを挙げているよ。

勉強をしている、していないにかかわらず、早く指すことができて、しかも着手が正確で、なおかつ勝つことーこれは、間違いなく天才の共通点である。絶対だ。天才は、盤を見た瞬間に、パッと手がひらめくのである。最も強力な一手、最強の一手が、局面を見た瞬間に浮かんでくるものなのだ。こうした能力は努力したからといって身につくものではない。もって生まれた、並外れた素質としかいいようがない。 -加藤一二三 羽生善治論

 

さらに加藤一二三さんは、いつものキャラからは考えにくいような厳しいことも言っている。

若くして長考型に天才はいない。断言してもいい。子どものころから、一手、一手、考え込んでいたような棋士はかなり将来が危うい。はっきりいって、早いうちに棋士をやめた方がいいとさえ思う- 加藤一二三 羽生善治論

計算ではなく、直感で指した手が最適解である、その経験は確かに理屈では語れない。加藤一二三や羽生善治のような「天才」にしか持ちえない素質といえるね。

 

努力が実るとは限らないのが「天才」の世界

そして、名人とか竜王とかの世界までいくと、努力だけではどうしようもできないというのもあるみたい。

A級棋士の一人に、三浦弘行というひとがいる。2016年、対局中にソフトを使用したと疑われた棋士だ。

で、その三浦棋士、将棋の勉強を一日10時間もしているそうなんだ。

もしかすれば、ソフトの研究もしていて、それがソフトと一致する手を指した原因かもしれないね。

 

さて、そんな努力家の三浦さん、2010年の第68期名人戦で、羽生さんに三浦さんが挑戦することとなった。三浦さんは対羽生善治研究のために、羽生善治の得意型に詳しい棋士が大阪にいると聞いて大阪に向かったこともあった。

しかし、結果は三浦さんの4連敗。ひたすら勉強したにもかかわらず、羽生善治を一回も負かすことができなかった。

 

すなわち、勉強量が関係なくなるのが、プロの世界というわけだ。

逆に、勉強をせずとも勝利することもある。これは加藤一二三自身が経験したことだ。

 

加藤一二三は、ある時、研究を一切せずにイスラエルに一週間巡礼しただけで調子を上げ、十段防衛に成功した。

もちろんあるところまでは努力が結果に比例するだろうけど、トップに君臨する人たちはその領域を超えているんだね。

天才の性格

さあ、そんな天才にはある特徴があある。

加藤一二三自身がこの性格で、また羽生善治もそうではないかと書いているよ。

それが、劣等感がないということ。

 

かつて加藤一二三さんは、中原誠さんに十八連敗したことがある。期間にしてなんと8年間、同じ相手に負け続けたということになる。

それでもひふみんは落ち込んだことが一度もなかった。

ここでこう指していれば私が勝った

という惜敗が多々あり、実力差では負けていないという自負があったからだそうだけど、それでも8年間も勝てない相手にそう思い続けるのは凡人にはできることではないよね。

羽生善治とはどんな人物か

羽生善治とダビデ

現在クリスチャンであるひふみんは、旧約聖書の話を持ち出し、羽生善治とダビデの共通点を見出している。

20歳前のダビデは、イスラエルを代表してペリシテの巨人ゴリアテと一騎打ちする。歴戦のつわものである大男のゴリアテはmダビデを見てこう言い放つ。

「俺をバカにしているのか?なめているのか?」

「お前のような少年がおれに立ち向かうなど笑止千万だ」

というわけである。

しかし、ダビデという少年は羊飼いだが、ライオンと戦っても負けなかったという。彼には、石投げという武器があったのだ。

ゴリアテのもとに走り寄ったダビデは、ゴリアテの目をめがけて石を投げた。医師が命中しゴリアテが倒れる。すかさずダビデはそこに駆け寄り、ゴリアテの首をかっ切ったのだ。

ダビデにはかつ自身があった。石を使えば、勝てると確信していたのである。だから、いくら若くても、経験ではかなわなくても、ゴリアテを前にしてひるむことはまったくなかったのだ。 -加藤一二三 羽生善治論

加藤一二三は、この巨人に対してもひるまなかったダビデと、米長邦雄にひるまず挑戦した羽生善治とを結びつけているよ。

絶対に勝つという自信がある、これが羽生善治の強みなのかもしれないね。

理系の羽生善治、文系の加藤一二三

 

ひふみんは、羽生善治の考え方を「理系的」と評しているよ。

これは、自身の将棋スタイルを文系と称して、その対比として言っているよ。

 

加藤一二三さんは、盤面を景色として見ていると、

「最も美しい形となるのはこの手である」

と瞬時に浮かんでくるそうだよ。

羽生さんにもそういうことはあるだろうとしつつ、加藤一二三さんは彼を理系だといっているよ。

私が将棋を覚えたのは小学生のときだったが、昔は参考になる本はなかったし、一緒に研究したいと思っても相手がいなかった。いたとしても簡単には見つからなかったのだ。だから一人でいろいろ考え、駒を動かしているうちに、気がついたら強くなっていた、という感じだった。羽生さんにそう話したら

「じゃあ、加藤先生はいつ勉強されたんですか?」

と驚かれたことがあったけれど、これは私くらいの年代までの棋士に共通するところだと思う。 -加藤一二三 羽生善治論

加藤一二三以前の世代は、理論をたてるというよりかは、直感と才能だけでのし上がっていくタイプだったけれど、羽生世代は、ちゃんと他の棋士の棋譜も勉強し、理論と実践を繰り返していく「理系」タイプだというんだね。

羽生善治に弱点はあるのか


さて、世界トップレベルの頭脳の持ち主、羽生善治に弱点はあるのか

いくつかの点から、加藤一二三は予測している。

まず、どんな棋士にも弱点はあると考えたうえで、いろいろ推測しているよ。

 

その中で一つ参考になるのが、羽生さんが苦手とする相手、森内俊之さん。

勝ち星の数では羽生さんが圧倒しているものの、羽生対森内の勝負では、例えば名人戦ではむしろ森内さんの方が勝ち越している。

 

どういうことか。加藤一二三さんは次のように分析している

羽生さんと森内さんの将棋を改めて検討してみて浮かび上がってきたことは、森内さんが非常によく羽生さんを研究しているということである。特に序盤の研究は行き届いている。このことが、森内さんが羽生さんと相性のいい最大の理由だと私は思う。 -加藤一二三 羽生善治論

羽生さんの攻めは、幅がひろく巧みだ。しかし、相手にうまく受けられると窮地に陥ることが結構ある。そこを突いてきたのが森内俊之という人物のようだね。

加藤一二三さんは、ここが羽生善治の唯一の弱点だと指摘しているよ。確かにほかにもいろいろ書いているけれど、忙しすぎて研究ができないなど、羽生善治独自の弱点とはいえないものが多かったよ。

 

 

まとめると、

 

羽生善治は、努力が実るとは限らない将棋という天才の世界で、直感で最善主が思い浮かぶ「大天才」の能力を持っている。また、劣等感を持たず、どんな相手にも勝てると確信して挑む。それは直感だけでなく、十分な研究によるところも大きく、その分、彼の攻めが呻く受けられると窮地に陥るという弱点もある。

 

本日はここまでだよ。

ひふみん、そして羽生善治さんのさらなる活躍を期待しているよ(^●ω●^)

 

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早稲田大学先進理工学部卒。クイズ番組が好き。 社会問題も興味あり。計算も好き。要はたいがい好き。 好きな人は小倉唯。男性は伊沢拓司。 twitter @english_otter Naverなどまとめサイト・キュレーションサイトへの無断転載は禁止しておりますのでご了承ください

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