アベノミクス効果で日本はゆるやかな好景気に向かっているけれど、それを皮膚で感じられる人はあまり多くないね。
例えば貧困率。改善傾向にあるとはいえ、日本の貧困率 はOECDの中ではあまり良くない位置にあるよ
いつの間にか中国のGDPが日本の倍近くになったし、どうもこの国の行く先が暗いように思えるね。
そんな中、日本を「再興」する方法を書いた本を書店で見つけたよ。日本再興戦略 (NewsPicks Book)だよ。
落合陽一さんといえば、筑波大学学長補佐でありながら、その洗練された考え方や技術力から「魔法使い」と呼ばれることもある。朝まで生テレビなどメディア露出も多い、注目の学者・メディアアーティストだね。今回はそんな落合さんの著者を読んで見たよ。
1.日本の文化・慣習・失敗
1.1.失敗した00年代
さて、なぜ日本はいつの間に「一流先進国」の座を奪われかねなくなったのか。
氏は、2000年代にIT革命の失敗が原因の一つと考えているよ。
日本は、トヨタに代表されるように生産は得意です。そして、フランスと同じように長い歴史と文化を持っています。足りないのはIT的なソフトウェアのカルチャーだけです。
(中略)
しかし、ライブドア堀江貴文さんが逮捕されたあたりで日本のIT 変革の流れが止まってしまいました。アメリカのITバブルが弾けた後、しばらく経済に大きな影響与えましたが、今でも知らない人は誰もいない程度にアマゾンは日本でも世界でも存在感をどんどん高めています。
(落合陽一 日本再興戦略)
氏は、日本は50から60年位に1回、考え方を大きく変えるのが今までの発展で重要だった。しかし、戦後50〜60年後となる2,000年頃のIT革命の失敗で変革できなかったことが今なお引きずっているというよ。
たしかに、中国はアリババやバイドゥが生まれたけれど日本のミクシィは消えてしまったね。
1.2.カースト・士農工商の利点
さて、氏は西洋的な見方だけではなく現在は東洋的な見方も必要だと指摘しているよ。
その例に、インドのカースト制度や日本の士農工商があるよ。
なぜカーストが幸福につながるのかと言うと、カーストがあると職業選択の自由はない反面、ある意味の安定は得られるからです。
(上に同じ)
実はインドのカースト制度は意外と流動的で、例えばトイレのドアを開ける職業の人はトイレが自動ドアになった場合自動ドアを設置する会社に勤めることになるよ。
もちろん1人が差別につながると言う短所もあるけれど、カーストが完全に悪いと言うわけではなさそうだね。
そして日本の士農工商。これを氏はよくできていると称しているよ。
士農工商で最も低い地位にあるのが「商」。これは今でいうホワイトカラーだね。
なぜホワイトカラーの序列が低いのかと言うと、「商」は基本的に生産に関わらないからとしているよ。
2.拝金主義からの脱却
2.1.メガバンクに就職でいいの?
「え?ホワイトカラーダメなの? 」
ダメというわけではないけれど、みんながみんな「商」に行きすぎるのは良くないと指摘するよ。
今のままでは士農工商の客の商工農士になってしまいます。商なんて本来価値を生み出していないと思った方がいいのです。
確かに、日本の経済を支えてきたパナソニックやソニーは「工」に当たる。
それに対して「商」は、工や農が生産したものを売る仕事だから、これ自体に生産性はないね。
それに、商があまり多くなって工や農が減ってしまってはうまくいかなくなるね。
アマゾンという会社はあるのに売るべき商品を誰も作っていないのならアマゾンは存在意義がないよね。
氏は現在の日本人は拝金主義で、それによがて「商」に傾倒しすぎていることを問題視しているよ。
たしかにお金は大事だけど、そこそこ稼いで、それよりも仕事の「価値」を重視するというのは僕も賛成だよ。
何事もバランスだね。
3.日本は復活のチャンスがある
3.1. 人口減少・高齢化はチャンスである
さて、そんな日本人が考えを改め、適切に物事を進めていけば日本には再興のチャンスがあると書いているよ。
それはなんでか。理由は3つ。
まず、自由化による打ち壊し運動が起きないから。
人口減において、労働力を保つのには機械化が必要になるよね。
これが人口増の社会でやれば、労働を奪うとして抵抗されるだろうけれど、人口減の社会ではそのような反対は起こりにくい。少なくとも人口増社会よりはスムースに行く。
二つ目が、輸出戦略。
日本は世界一の高齢社会だから、高齢化に対応する実験をせざるを得なくなる。
そして、その中で生まれたサービスや技術を、これから高齢化が酷くなる海外へ輸出することができる。
最後に、教育投資。
純粋に、少子化が進むと子供が貴重になる。よって子供をより手厚く教育さるようになる。となれば世界に通用する日本人が増えてくる期待もできるね
以上の3つから、氏は日本の高齢社会をプラスに考えているよ。
3.2. 「百姓」という多動力
さて、そんな日本で、日本人の働き方はどうなっていくだろう?
氏は、百姓になると書いているよ。
とはいっても、農家というわけではない。100の仕事をする人ということだ。
たとえば、氏自身が百姓だよ。大学教授だけでなく、経営者でもあるし、作家でもある。
これの何がプラスかといえば、コストセンター(コストがかさむ部門)とプロフィットセンター(利益を多く産む部門)ができるんだ。
今、例えばiPS細胞の研究がそうであるように、研究や生産的なことにはお金はかかるけど短期的な利益は生みづらい。
でも、百姓になってプロフィットセンターをつくることで、ある程度自前で研究費を稼げるようになるね。
この考えが広まれば、利益だけでなく、仕事の価値にみんなが注目する、つまり拝金主義から脱却できるんじゃないかな。
氏は書いていないけれど、既にこの国がそういう方向に向かいつつあるように感じるよ。
最初に思いついたのはユーチューバーという職業。同じ動画配信といっても体を張ることもあれば頭を使うこともある。ある程度は百姓といってもいいんじゃないかな。
あるいは、サラリーマンブロガーという存在もそれに近いかもしれない。サラリーマンという職業とブロガーとい仕事を兼ね備えているし、それぞれの職の経験が互いを刺激しあってクリエイティブな発想を生み出すこともあり得るね。
4.まとめ
日本が拝金主義的思想をやめ、百姓力をつければ国は再興する。
本日はここまでだよ。僕も百姓になれるよう精進していくよ(^●ω●^)