はいどうも、カワウソだよ。
2017年11月2日、世界経済フォーラムにより、男女平等の度合をはかるジェンダーギャップ指数が発表されたよ。
日本は144ヶ国中114位で0.657(1に近いほど平等)。アイスランド(0.878)を筆頭にノルウェー、フィンランドなど、北欧諸国がよい順位だったよ。
ほかには
アメリカ が0.718 で49位
中国が0.674 で100位
韓国が0.650で118位だよ。
一方で、このジェンダーギャップ指数含む国際的なランキングの多くが欧米の基準で計測されており、だからアジア諸国に不利だという意見がもでている。
実際、そういう面はあると思うよ。
しかし、欧米基準というのならば、どういうところが欧米基準なのかをはっきりしなければいけないだろう。
もしこのジェンダーギャップ指数にそういう点が見られるのならばそこは気にしなくていいだろうし、日欧米諸国であっても伸ばした方がいいところがあれば改善していくべきだろうと思う。
というわけで、今回は男女平等の指数の一つ、ジェンダーギャップ指数について詳しくみていくよ。
目次
どの分野で男女平等が実現されていないのか
そもそも、このジェンダーギャップ指数って、どうやってはかるのだろう。まずはその点を見てみよう。
ジェンダーギャップ指数においては、14分野の指数をとって、そこから総合的に計算しているんだ。
その14分野を大きく4つにわけると
・経済参画(労働力率の男女比・同種業務での給与格差・所得格差・幹部管理職の男女比・専門職の男女比)
・教育(識字率格差・基礎教育格差・中等教育格差・高等教育格差)
・健康(出生時男女比・健康寿命)
・政治参画(国会議員男女比・閣僚男女比・過去50年の国家代表の性別)
となる。
その中で、日本が世界平均より悪かったのは
・幹部管理職の男女比
・専門職の男女比
・高等教育格差
・国会議員男女比
・閣僚男女比
・過去50年の国家代表の性別
の6分野だったよ。
意外かもしれないけれど、例えば賃金格差は他の国と比較しても小さい。あるいは、女性の労働者数の割合もそこまで低くない。
というより、働く女性の割合はアメリカよりも多いそうなんだ。
しかし、労働力としての女性活躍はそこそこできている一方で、会社の幹部・役員、高等教育を受ける割合、国会議員や閣僚といった、人の上に立ち、重要な決定をする立場にいる女性の割合が他国と比べて低いということになるね。
この点はしっかりと是正していくべきだと思うよ。
ランキング上げを目的にしてはいけない
日本がフィリピンになったところで女性は幸せにはならない
で、ここでジェンダーギャップ指数について、ひとつ問題を提起しておこう。
ジェンダーギャップ指数に限ったことではないのだけれど、ただランキングを上げることを目的にしてしまってはいけないということだ。
あくまでも、男女平等を意識して、その結果ランキングが上がる、ということをしなければいけない。
「ジェンダーギャップ指数を上げて世界にアピールしよう」というのを第一に考えるのは極めて危険だよ。
その理由を、今からフィリピンの例をあげてかんがえてみよう。
このジェンダーギャップ指数において、フィリピンの順位は世界10位(2018年では8位)で、アジアトップの順位だ。
特に評価が高いのが教育分野と専門職男女比で、なんと世界一位だ。
では日本は教育・専門職男女比に関してフィリピンを見習うべきか、僕はそうは思わない。
それは、実際に数字を見ていくとわかるだろう。
まず、高等教育の男女格差について。
日本の値が 女 60.9%, 男65.7%だ。高等教育だから、大学のことを指しているのだろう。
で、フィリピンの数値はというと
女 40.3% 男 31.4%
男女ともに、高等教育進学率は日本より低いんだ。
だから、もし日本がフィリピンにならおうとするのなら、大学進学率を低くする必要がある。
たとえばだけど、男性の大学授業料を2倍にすれば、所得の低い世帯の男子高校生は大学進学をあきらめるだろう。となると、教育の男女格差は改善される。
でも、そうなると専門的な知識を持った人の割合が少なくなるし、国家にとって極めて良くないよね。
だから、フィリピンを見習う、少なくとも模倣するような真似はしない方がよいだろう。
また、専門職男女比では、女性の値が男性の1.6倍となっているよ。
女性専門職が男性専門職よりも多いということになるね。
保守的な人を中心に指摘されていることなんだけれど、ジェンダーギャップ指数では、女性が男性より多い場合も1.00(満点)と表示されているよ。
もし、『男/女 または女/男の値で、1より小さい方』を値にするならば、
フィリピンの専門職男女比は0.625。
これは日本の値0.654を下回るよ。
ジェンダーギャップ指数は男女平等指数といわれることが多い(し、僕自体そう表記している)のだけれど、正確には男女平等指数というよりも女性活躍度指数といったほうが良いだろうね。
ちなみに、フィリピンに専門職の女性が多い理由だけれど、
こういった途上国の場合では、看護師などの出稼ぎが原因で専門職に就く女性の人数が上がっていると考えられる。
もし日本がフィリピンを見習おうとするならば、
中国や韓国に出稼ぎに行って、その仕送りがGDPの1割を占めるようになる。
それで「男女平等指数が上がった!」と自慢できるようになったところで、それは日本に住む女性の多くが望む国の在り方なのだろうか。
ジェンダーギャップ指数は参考基準としては非常に良い指標だと思っているけれど、これを無批判に受け入れて、「ランキングの高い国の現状をそっくりそのままあてはめよう」という意見は極めて馬鹿げていて非常に危険なのではないかな。
男女平等実現に必要なこと
では、日本は男女平等実現のために何をすればいいのか。
上でも挙げたように、日本が世界平均より男女格差があるのは、専門知識を求められ、重大な決定をする分野、そしてそういう専門的なことを学ぶ高等教育の進学率だ。
基礎的なところ、基盤的なところに関して、日本の女性活躍度は世界平均と同じくらいとなっている。
でも、専門を求められる職に就いたり、国家を動かしたりすることに関して、日本は世界平均より後進的とみなされている。
となれば、絶対に取り組まなきゃいけないのは、
専門教育の男女平等
じゃないかな。
もちろん、それと同時に、女性が要職に就きやすいような社会にしなければいけない。これは、ぼくたちの考え方を見直す必要があるということじゃないかな。
まとめると、こうだよ。
日本の男女平等の度合は、基礎的・基盤的なところでは世界平均と同程度以上。しかし専門的な分野の男女格差が著しい。
今回はここまでだよ。
男の人も女の人も、同じくらい幸せに暮らせる日がくるといいね(^●ω●^)
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