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東京医科大学の女子一律減点を受け、女性差別を改めて考える

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東京医科大学が女性受験者に対して一律減点していたと指摘されています。

得点操作にマニュアル、前理事長ら3人のみ把握

東京医科大学は、3浪以下の男子受験者に加点していた一方で女子受験者には加点しなない、事実上の減点操作をしていたと指摘されています。

 

ツイッターでは #私たちは女性差別にっていい というハッシュタグがつけられ、多くのツイートに賛同が寄せられています。

 

 

平成が終わろうとし、新たな時代へと進もうという期待感の高まる中、実は日本の男女平等指数は欧米先進国と比べ数百年遅れていたことが明らかになり、私も男ながら強い憤りがあります。

今回は、それでもなるべく感情的にならず、冷静に個々の事件を考えていくとともに、今後、我々は日本人としてどうあるべきか、考えていただければとおもいます。

1.東京医科大学は何を間違えたか

1.1.理事長の『言い訳』は思考停止だ

東京医科大学はなぜこのような不正差別を犯したか、見ていきましょう。

この原因については、理事長が明らかにしています。

女医は出産や結婚で離職するから減点した

しかし、この言い分は思考停止でしかありません。大学という『教育機関』の役割と矛盾しています。

 

医科大学といえば、その主たる目的は、医者を養成する場所でしょう。となれば、女性だという理由でその権利を奪うのは、大学としての役割を放棄し、本来大学がとるべき責任を受験者に転嫁していることになる。

医科大学という名ですが、大学であることには変わりありません。

 

医学部ではなく、法学部や教育学部に起き位変えて考えてみましょう。

偏差値の高い大学の法学部が「女子弁護士は結婚して退職するから減点しよう」とか、教育学部が「男子教員は怠けるから全員減点」という操作をおこっていたらどうでしょう。

おかしいのでは、と思いますよね。弁護士や教員傾向が大学入試に影響を及ぼしているなんて、おかしいでしょう。

同じことが、なぜ医学部では当たり前となっていたのでしょうか。

 

たしかに、残念ながら、女性が男性よりも寿退社をする傾向は、女性活躍社会がうたわれる現在もなお、存在します。

しかし、その悪しき傾向を取り払う努力をするのが大学の務めでしょう。

少なくとも、文部科学省から女性研究者育成のための助成金をもらっている大学であれば、なおさらのことです。

東京医大に「女性活躍」補助8000万円 減点疑惑の時期、国から3年で交付

 

1.2.入試の一律減点は合理的ではない

1.2.1.一律減点で、東京医科大の偏差値は下がる

また、女性差別の点を除いた議論にしたところで、女子受験者の一律減点は合理的な方法ではないと考えます。

まず、男女比によらず、一律減点・一律加点は、優秀な人を不合格にし、あまり優秀でない人を合格とする、ということです。

 

そうすれば、医者における男女比はどうであれ、東京医科大学は全体として、偏差値が低下することになり、また優秀でない卒業生を輩出していることになる。

それは、東京医科大学の価値を下げることにならないでしょうか?

1.2.2. 選別しても、退職率は下がらない

そして、もう一つ。女子の一律減点をしたところで女医の退職率は下がるわけではありません。そのような相関関係を私は聞いたことがありませんし、おそらくないでしょう。

たしかに、女性の一律減点をすれば、卒業生全体における退職率は下がるでしょう(もし、女医に結婚出産で退職するという傾向があるならば)。

しかし、男女別にみれば、東京医科大学出身の女医が特別退職率が低い、というようなことが起こるとは考えにくい。

 

それならば、一律減点をするよりも、女子学生に対する教育を積極的に行うなどして女医の退職率を減らした方が、大学案内でもそういうデータを自慢できますし、国からの補助金も期待できます。

1.3.なぜ明言しなかったのか

正直に言えば、医師の男女比は1:1くらいがちょうどいいのではないかと思っています。

というのも、日本人の男女比がほぼ1:1:で、したがって患者数も1:1:くらいだろうと予想されるからです。

事実、北欧・西欧諸国で医師数に占める女性の割合は45~60%程度です

(参考URL https://labcoat.jp/doctor-men-women-ratio/

しかし、日本の医者の80%程度が男性です

 

患者の立場からすれば、医者の性別も大きな問題なのではないでしょうか。

身体を見られるわけですし、男性医師に裸や内臓を見せるのに抵抗感のある

 

 

2.女性差別は男性差別へとつながる

2.1.女性差別は男性差別と表裏一体だ

まず、女性差別と言いますが、被害を受けるのは女性だけではありません。

むしろ、私にとっては、男性が女性に対して劣等感を抱く原因を作っているようにも思います。

 

例えば、東京医科大学に入学した生徒。

偏差値的な面では、女子の成績が男子の成績を上回るでしょう。

女子合格者は、男子合格者よりも高い合格点を課せられていたのですから。

 

そうなると、男子は女子より優秀という認識が学内に浸透するのではないでしょうか。

彼ら彼女らが社会へ出たとき、事実以上の男性差別を呼ぶおそれがあります。

 

もちろん逆もあります。

優秀な女学生に対して、差別することで自尊心をたもつ、ということも考えられます。

そうなれば、合格水準に差をつけたことにより、男性差別・女性差別の両方を発生させるおそれがある。

 

この例に限らず、女性差別のすぐそばで男性差別は起こりうるのではないでしょうか。

 

2.1.フェイクニュースも元をたどれば女性差別が原因か

女性差別に対するツイートの中には、フェイクニュースと思われるものも存在します。
東大の成績優秀者を上から合格させると女子ばかりになる というものがありますが、模擬試験の成績上位者リストをみるかぎり、まだ男性の占有率が高いです。(もちろん女子が下位、というわけではないでしょうが)

 

 

こういったフェイクニュースが反感を買い、女性差別の一因となっているのではないかとも思いますが、

こういったフェイクニュースが蔓延するのも、女性差別が原因なのではないでしょうか

 

「東京医科大学が減点しているのんだら東大もしているだろう」などの推測がされる。

もし一律減点などの差別がなければ、こういったデマもはやらなくなるのではないかと思います。

 

3.我々は女性差別にどう対応するべきか

3.1.不快なことは不快だと言う

正直にいうと、男性の中には、無自覚に女性差別をする人がいます。

私自身、優秀な女性に対して「可愛い」というのが、バカにしているととらえられると知って驚いたことがあります。

 

これは、男性に差別意識があるというよりは、無自覚にそういう発言をしてしまう。

 

察することが苦手な人は、男性の中にもいます。私自身、そうです。

察することが苦手な人間にとって、「そんなこと言わなくてもわかるでしょ」と、こちらが察することに期待されると、いつまでたっても軋轢は解消されません。

 

直接言うのに抵抗があるならば、SNSでツイートすることを推奨します。

もちろん、SNSを利用しない人には伝わらないという限界はありますが、何もしないよりは、効果があるのではないかと考えています

 

3.2.言葉の過剰反応には注意する

しかし同時に懸念していることがあります。

それは、過剰な言葉狩り・差別狩りです。

 

社会における発言・SNSでのつぶやきなどにおいては、当然差別的発言を許してはなりません。

しかし、文化やフィクションにおいては、男性性・女性性がアピールされるところもあるかと思います。

 

ある有名な歌詞の中には

『男らしく(告白を)言いたい』というものがあります。

しかし、文脈から判断して、差別には当たらないでしょう。

 

あるいは、アメリカでは、マンホールをパーソンホールと呼ぶ運動もありました。

しかし、そう呼ぶことで何が変わるのでしょうか。あまり意味がないように思います。

むしろ、こういう言葉に過度に反応すると、レイシストを刺激してしまうのではないでしょうか。

 

纏めると、

不当な女性差別に対しては徹底的に抵抗するとともに、事実を尊重し、不必要な言葉狩りには慎重になる。これがよい方法なのではないかとかんがえます。

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